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大地震確率 太平洋側が上昇 6弱以上30年内予測 関東は横ばい

 政府の地震調査委員会は十日、今後三十年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布を示した二〇一六年版「全国地震動予測地図」を公表した。発生が迫っているとされる南海トラフ地震が起きていないため、静岡県から四国にかけての太平洋側では前回の一四年版に比べて確率が少し高くなった。関東地方はほぼ横ばい。
 都道府県庁所在地の市庁舎(東京は都庁)周辺で、全国で最も高いのは千葉市で85%。水戸市と横浜市がそれぞれ81%で続いた。都庁周辺は47%だった。南海トラフ地震の影響を強く受ける太平洋側では、静岡市が二年前より2ポイント増の68%、名古屋市が1ポイント増の45%などと確率が微増した。
 確率が大きく変わったのは長野県。活断層「糸魚川−静岡構造線断層帯」の調査結果を反映させたため、松本市周辺など長野県中部で確率が上がり、それ以外は下がった。長野市は前回の13%から5・5%になった。
 改訂は一月一日を基準日にしており、四月の熊本地震の影響は考慮されていない。算出法の見直しに伴い、一四年版の数値も一部で修正された。
 地図は二百五十メートル四方に区切って確率を示している。防災科学技術研究所のサイト「地震ハザードステーション」(http://www.j-shis.bosai.go.jp)で公開され、各地点の確率を調べることができる。

◆熊本は7.6%で発生 確率低くても備え必要
 四月に震度6強の地震があった熊本市。今回の地震動予測地図によると、今後三十年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は7・6%で、関東地方や東海地方に比べて、ずっと低い値だった。それでも大地震は起きた。
 地震調査委員会の平田直委員長は「確率が他の場所より低いからといって安心してはだめだということを熊本地震が示した。日本で強い揺れに見舞われる確率がゼロになるところはない」と話す。確率が低い地域でも強い揺れへの備えが必要というのが地震調査委の見解だ。
 地震動予測地図は二〇〇五年に作成を開始した。地震保険の料率算定や自治体のハザードマップ作成などで活用されている。
 ただ一般の防災意識の向上に役立っているとは言い難い。確率の低い地域に住む住民からは「安心情報」と受け取られ、逆効果になりかねないとの指摘も出ている。示された確率は地震研究の成果であるが、現在の研究レベルでは地震予知は無理だということも、知っておかなくてはならない。 (榊原智康)

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