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熊本地震 「岩せつなだれ」現象 緩斜面の土砂災害

 熊本地震で5人が犠牲になった熊本県南阿蘇村河陽の高野台団地を襲った土砂災害について、雪崩のように高速で土砂が流れ下る「岩せつなだれ」と呼ばれる現象が発生していたとする調査結果を、熊本大の宮縁育夫准教授(火山地質学)がまとめた。火山とその周辺では緩斜面でも起こる可能性があり、注意を呼びかけている。
 高野台地区を襲った土砂崩れがあった場所は、火山灰からなる土壌。地震で崩れただけでは土砂が流れないような傾斜角度が10度にも満たない緩斜面だが、最長で600メートル近くも流れ下っていた。
 宮縁准教授が現地調査したところ、土砂が水で運ばれた形跡がなかった。さらに、同地区で2000年6月〜01年1月に行われた熊本県の遺跡発掘調査で、約2100年前の弥生時代の遺構が岩せつなだれによって土砂に覆われて埋没していたことから、宮縁准教授は「同じ岩せつなだれが小規模ながら発生した」と結論付けた。
 地盤災害に詳しい京都大防災研究所の千木良(ちぎら)雅弘教授(応用地質学)によると、岩せつなだれは火山灰からなる土壌の下の軽石の層が地震の強い揺れなどによって崩れ、泥状になることなどで発生。一般に土砂が流れ下る速度は時速100キロを超え、東日本大震災などでも起きたという。
 宮縁准教授は「火山などでは岩せつなだれが起きる可能性に配慮し防災につなげることが重要だ」と指摘した。【飯田和樹】

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