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熊本地震調査 現行耐震基準は有効

 4月の熊本地震による建物被害の原因を分析していた国土交通省の有識者委員会(委員長=久保哲夫・東京大名誉教授)は12日、新耐震基準の規定が強化された現行基準(2000年改正)について、倒壊・崩壊の防止に有効だったと結論付け、基準の見直しに否定的な見解を示した。
 庁舎や避難所については「機能維持の検討が必要」と指摘しており、同省は防災拠点の被害軽減策や旧基準の建物の耐震補強促進などを今後検討する。
 委員会は5月から議論を始め、3回目の今回が最終回となる。
 国交省によると、震度7を2回観測した熊本県益城町の木造建物1955棟を対象とした現地調査では、接合部に金具を使うなど具体的な方法が同省の告示で明示された00年以降の建物で、倒壊・崩壊したのは7棟(2.2%)。うち3棟は基準に照らして部材の接合部が不十分で、1棟は敷地の崩壊が原因、残り3棟は原因不明。
 1981年の新基準前の建物で倒壊・崩壊したのは27.9%。81年以降00年までの建物の倒壊・崩壊は8.7%。大きな建物被害があった同県西原、南阿蘇両村では00年以降の建物の倒壊・崩壊事例は確認されず、委員会は「旧耐震基準の建物について耐震化の一層の促進を図ることが必要」と求めた。
 一方、庁舎や指定避難所を天井が損壊するなどして使えなかったことについては、原因究明と機能維持のための検討が必要とした。
 また、ビルやマンションなどの耐震基準について通常を1.0とした場合、地震の頻度が低いとされた九州が0.9〜0.8などと設定されている「地域係数」に関しては、委員から「中長期的に検討すべきだ」との声が出た。【関谷俊介】

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