戻る <<前 【記事51567】双子地震後に本震ほぼ例なく 熊本地震メカニズム(京都新聞2016年4月17日) 次>> 戻る
KEY_WORD:熊本地震:
 
参照元
双子地震後に本震ほぼ例なく 熊本地震メカニズム

 九州で活発化している地震活動について、内陸地震の発生メカニズムに詳しい飯尾能久・京都大防災研究所地震予知研究センター教授に聞いた。

■最初の地震で前震とは見抜けず

 九州で14日から連鎖的に発生している地震は、近代的な地震観測が始まったこの100年間ではほとんど例のない非常にまれな形態だ。一つは、ほぼ同じ震央(震源の真上の地表点)でマグニチュード(M)6クラス以上の地震が立て続けに起こったことと、もう一つは数十キロ以上も離れた場所の地震を誘発していることだ。

 14日午後9時半ごろのM6・5の地震と15日午前0時過ぎのM6・4の地震は「ダブレット」と呼ばれるいわば双子の地震だ。二つの地震の発生後、余震の回数が減る経過をたどっており、収束に向かっていると捉えることができた。ところが、16日午前1時25分に、より規模の大きいM7・3の地震がほぼ同じ震央で起きた。14、15日の地震で割れ方が不十分だったので16日にさらに割れたのか、あるいは、震央は同じでも断層が割れている方向が違ったのか、よく分からないが極めてまれなケースといえる。

 気象庁は、14日の地震を「前震」、16日の地震を「本震」との見方を示している。しかし、最初の地震が起こった段階で、その地震が前震が本震なのかを見抜くのは非常に難しい。観測史上、M6以上の前震を観測し、本震がM7を超えた日本の内陸地震は、1896年の陸羽地震、2011年の福島県浜通り地震の二つしかない。また、これらの地震の前震は、その余震の回数が時間とともに減少しなかったようであり、いわゆる「本震余震型」とは明らかに違ったものだった。

■離れすぎた場所で誘発

 14、15日の地震と16日の同じ震央の地震は、16日午前4時ごろに熊本県阿蘇地方で起こったM5・8の地震、同日午前7時過ぎに大分県で起こったM5・3の地震を誘発したと考えられるが、距離が大きく離れている。大地震が発生すると、地殻に働く力のバランスが変わり、地震を誘発することはある。

 ただ、これほど離れた場所での誘発は内陸地震ではほとんど前例がない。地震活動が活発化していることは確かなので、活断層のある長崎・雲仙などの周辺地域で警戒が必要だ。

 観測例に乏しいこれらの現象にも発生した理由はもちろんあるはずだ。今後、震源域周辺の詳細な地震観測で明らかにしていくことが、内陸地震の研究を進めていく上でも重要になるだろう。

【 2016年04月17日 11時23分 】

戻る <<前 【記事51567】双子地震後に本震ほぼ例なく 熊本地震メカニズム(京都新聞2016年4月17日) 次>> 戻る