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新規制基準による審査の欠陥_筒井哲郎

    2016年5月17日 @主婦会館
    原子力市民委員会 規制部会長
    プラント技術者の会/NPO APAST
    筒井哲郎

       目次
    1.耐震性審査の不透明
      1)安全余裕の切り詰め
      2)「白抜き」「黒塗り」

    2.審査から除外した項目

    3.新規制基準は外付け対策
    4.安全なプラントとは?

1.耐震性審査の不透明
1)安全余裕の切り詰め
 川内原発基準地震動(Ss)の変遷
  初期設計時:270 gal(1号機)、372 gal(2号機)
  耐震バックチェック時:540 gal
  今回の申請:620 gal(震源を特定しない地震動)
  けれども、躯体や機器の構造は変わっていない
  ⇒蒸気発生器では計算方法を変更(弾塑性解析・不確かさに対する余裕を削除)
  ⇒破断応力にミルシート値を採用
  新たな現象の発生
  計算手法は最大荷重を1度負荷する
  ⇒熊本では間隔をおいて多数回繰り返し、福島では3分間
   最大加速度1580gal

1.耐震性審査の不透明
 2)「白抜き」「黒塗り」

(図有:第3−5図 地震応答解析モデル(鉛直方向))

2.審査から除外した項目

 1)火山の噴火予知
 2)特定重大事故対処設備(テロ対策など)の期限延長。免震重要棟の取りやめ
 3)防災避難計画は、審査対象外
 4)立地審査指針は棚上げ
 5)水蒸気爆発
 6)水素爆発

2.審査から除外した項目
 1)地震予知
―巨大噴火は予知できても、直前にしか予知できない―

 「現実には火山噴火予知も実用的なレベルからははるかに遠い。」「予知出来た例でも・・・噴火の予知が可能なのは噴火の比較的直前であり、数ヶ月や数年前といった非常に早い時期から噴火の発生を予測できるわけではない」(東京大学名誉教授・藤井敏嗣)。
 「規制委が要請すべきは燃料を運び出す余裕を持ってカルデラ噴火を予測できるモニタリングのはず。それは無理だと規制委にコメントしたが、全然通じていない。搬出に数年かかるとの見方もある」(東京大学噴火予知研究センター・中田節也教授)

プロである火山学者は予知は直前まで無理だと言っているにも拘わらず素人の九電は数年も前に予知が出来ると言い張っている。
3.新規制基準は外付け対策
 1)既存原発を外付けの過酷事故対策設備追加で合格させる
 2)過酷事故対策の成功率は?
   放水砲で煙を洗う
3)テロ対策は「入門管理」で正門から「私はテロリストです」と断って入ってくれるはず。武力攻撃は?

3.新規制基準は外付け対策
 1)過酷事故対策設備

(図有:電気事業連合会資料から)
(図有:中国電力資料から)

事故時には外付けの機器を人力で接続:
信頼性?
高放射線下の被ばく労働
工業スタンダードから逸脱(竹槍とバケツリレー)


3.新規制基準は外付け対策
2)格納容器が破れたとき(第55条)P.347


 放水設備
プルームを防ぐため!???(図は規制委員会「適合性審査結果案の要点」から)
 集水ピットとシルトフェンス
福島の汚染水問題は地下水の流入が今日の深刻な汚染水蓄積と海洋流出の原因。一過性の止水だけを考えている。

3.新規制基準は外付け対策
3)テロ対策

(図有:関西電力プレゼン資料から)
 現状対策は入構管理のみ
 米国では100人以上の重武装警備員を配備
 重武装集団の攻撃には?
 作業員に紛れ込んで侵入したら?
 攻撃を受けている最中に冷静にプラントシャットダウン運転をできるか?

4.安全なプラントとは?

  敷地外へ放射能が飛散する設備は許してはいけない 現状はBad Designである: Gregory Jaczko
  通常の産業設備(石油プラントなど)では、初期消火に失敗したら燃え尽きるのを待つ(受動安全、本質安全)
  原発はそれから大車輪で人間が冷却する。

(図有:2011年3月11日コスモ石油千葉製油所の火災『朝日新聞』)

ありがとうございました

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