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原子力規制委の火山影響の指針 「不合理」と指摘


鹿児島県にある川内原子力発電所1号機と2号機の運転停止を求めている住民の仮処分の申し立てについて、福岡高等裁判所宮崎支部は「原子力規制委員会の安全性の判断が不合理とは言えない」として、退ける決定を出しました。今回の決定では、原子力規制委員会が周辺火山の影響の審査で用いている指針「火山影響評価ガイド」について、「噴火の時期や規模が相当前に的確に予測できることを前提にしている点で不合理だと言わざるをえない」と指摘しています。

原発の新しい規制基準では、火山の影響を審査する際の指針「火山影響評価ガイド」で、原発の数十年間の運用期間中に、周辺の火山で巨大噴火が発生し、火砕流が敷地に到達する可能性などを評価し、十分に小さいことを説明できなければ、その原発の立地は認められないと定めています。
また、こうした巨大噴火の可能性が十分に低い場合でも、地殻変動などを継続的に観測し、巨大噴火につながるような異常があれば、原発の運転を止めて燃料を運び出すことを求めています。
川内原発の審査では、この指針を基に、過去に巨大噴火を引き起こした周辺の5つの火山について検討が行われ、巨大噴火の起こる間隔などから、「運用期間中の巨大噴火の可能性は十分に低い」と評価されました。
今回の決定では、「最新の知見でも、火山の噴火の時期や規模の的確な予測は困難で、異常現象が検知されても、それがいつ、どの程度の噴火に至るかなど、的確に判断できる理論などを持ち合わせていないのが、現時点の科学技術水準だ」として、「火山影響評価ガイド」は「噴火の時期や規模が相当前に的確に予測できることを前提にしている点で、不合理だと言わざるをえない」と指摘しています。
その一方で、巨大噴火について「地球的規模で生態系などに影響を与え、原子力災害をはるかに上回るもので、日本ではこうした自然災害の危険性については、建築規制をはじめ、安全性の確保のうえで考慮されていないのが実情だ。原発の安全性確保についてのみ別に考える根拠はない」としています。
そのうえで、「巨大噴火は発生する可能性が相応の根拠で示されないかぎり、原発の安全性確保のうえで想定しなくても、原発が安全性に欠けるということはできない。川内原発周辺の5つの火山については、原発の運用期間中に巨大噴火が起こる可能性が根拠を持って示されていない」として、運用期間中の巨大噴火の可能性は十分に低いとした規制委員会の評価自体は不合理ではないとしています。

規制委委員長「見直す必要あると理解していない」
原子力規制委員会の田中俊一委員長は、今回の決定で「火山影響評価ガイド」に対し「噴火の時期や規模が相当前に的確に予測できることを前提にしている点で不合理だと言わざるをえない」と指摘されたことについて、「ガイドの内容も巨大噴火への対応も、特に見直す必要があるとは理解していない。ある日突然、巨大噴火が起こるということではなさそうだと認識していて、できるだけ細密に観測し、速やかに対応するのが、われわれの考え方だ」と述べました
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