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浜岡住民調査 原発事故時「指示前に避難」51%超

 中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)で三十一キロ圏内に住む住民の51・7%が、原発事故発生の情報を得たら「避難指示が出る前に避難を始める」としていることが、民間団体の調査で分かった。静岡県は国の指針に沿い、五キロ圏内の住民を優先的に避難させ、五〜三十一キロ圏の住民は屋内避難後に順次圏外へ退避させる「二段階避難」を基本としているが、計画通り避難ができない可能性が明らかになったことで新たな課題を突きつけられた格好だ。
 調査は今年五〜六月、広瀬弘忠・東京女子大名誉教授が代表を務める「安全・安心研究センター」(東京都渋谷区)が実施。原発事故が起きた際、被害を受ける可能性のある浜岡原発三十一キロ圏内の十一市町に住む三百六十人に面談方式で回答を収集。「直ちに避難を始める」(21・1%)か「事故情報を確認し、避難指示が出る前に避難する」(30・6%)に回答した人が合わせて51・7%いた。
 静岡県は今年四月、原発事故の際に三十一キロ圏の住民九十四万人を東京や愛知、石川など七都県と静岡県内に避難させる広域避難計画を発表。ただ、七都県の詳しい受け入れ自治体は示されておらず、避難時間の想定もされていない。
 二〇一四年には、浜岡原発事故で三十一キロ圏の住民が自動車で圏外へ避難する時間を試算。仮に40%の住民が指示前に避難すると、全員が避難を終えるまでに三十三時間十五分かかるとの推計を公表している。ただ、家屋倒壊や火災による道路封鎖、道路の損傷などは考慮されておらず、現実の避難時間はさらに延びる可能性がある。
 調査結果を受け、県の担当者は「これだけの人が一斉に逃げると避難に大きな影響を与える。順番で避難した方が、被ばくのリスクが下がるということを丁寧に説明しなくてはいけない」と課題を述べる。
 広瀬さんは「福島第一原発事故の被害を知った国民が、パニックの中、じっと待っていられるとは考えにくい。二段階避難は計画自体が無理で、想定以上の混乱が起こる」と指摘した。 (小沢慧一)

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