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鹿児島・川内原発:規制委員長会見 主なやりとり

 原子力規制委員会が16日、九州電力川内原発1、2号機の審査書案を了承後、開かれた田中俊一委員長の定例記者会見での主なやりとりは以下の通り。
 −−審査書案に対する評価と所感を。
 ◆もう少し早くまとめられるかと思ったが、過酷事故対策や自然災害への対応を検討してきた。十分というつもりはないが、私たちが考えられることは慎重にきちっと評価してきた。一つの山を越えたというところ。再稼働にはまだいくつも山はあると思うが、大きなエポック新時代というような印象を持っている。
 −−審査を踏まえて川内原発の安全性は。
 ◆新しい規制基準は相当厳しい。長い時間をかけて議論して納得いく審査書案がまとまり、一定程度安全性が高まったと思う。ただし、これがゴールでないことは再三言った通り。ますます努力していく必要がある。
 −−原発事故が起きた場合の避難体制は審査でどう考慮したか。
 ◆審査の中では評価していない。自治体が、住民が安心できる防災避難計画を作ってほしい。防災対策を作ることは規制庁の範囲外。手伝いはする。
 −−避難計画ができなければ、自治体は原発の再稼働に同意すべきでないと考えるか。
 ◆私たちは再稼働するかしないかを判断しない。
 −−原子力規制行政の信頼回復の一歩となるか。
 ◆独立性、透明性、中立性を貫き通すことができた。国民の信頼を得られることを私自身は願っているが、国民が判断すること。
 −−審査の位置付けは。
 ◆新基準への適合はみているが、安全とは私は申し上げないと何度も言ってきた。
 −−火山噴火は予知が難しいという火山学者の声が多い。
 ◆専門家の意見や文献、規制委員の意見も踏まえ問題ないと判断した。巨大噴火のカルデラ噴火は1〜2年で起きるものではない。またその予測は原発の安全性だけでなく広大な範囲の人命にかかわることなので、これから研究を進めるべきだと思う。調査を重ねれば予測できるということだと思う。
 −−新基準適合後も残るリスクは何か。
 ◆技術なので対策し尽くしているとは言い切れないが、リスクを減らすことに努めた。人知の及ばないことがあるというのが、不確かさにつながる。
 −−科学の不確実性の審査への影響は。
 ◆科学的な知見がはっきりしていれば時間はかからなかったと思うが、考え方の相違があって議論に時間がかかった。
 −−報道各社の世論調査で再稼働に批判的な声が上がっている。
 ◆福島県では十数万人が避難していつ自宅へ帰れるのか分からない状況に、多くの国民が不安を持つのは当然。しかし私たちの役割は審査に対応することで、社会的ジレンマとは関係ない。
 −−他原発の審査の見通しは。
 ◆関西電力高浜原発は論点がほぼ整理されている。九電玄海原発も相当なところまで詰まったように思う。今後は期待したように進んでいくと思う。高浜が2番手になるのかなと思うが、私から申し上げることではない。
 −−原発の安全は誰が責任を持つのか。
 ◆安全の第一義的な責任者は事業者。それを見ていくのが私どもの役目だと思う。
 −−菅義偉官房長官は、規制委に「安全かどうかの判断を委ねる」と発言している。
 ◆安全はゼロリスクと誤解される。政治的に分かりやすいから「安全」と言ったのかもしれない。政治家の言うことと私の言うことは同じではない。
 −−新基準は世界最高レベルというが、審査に合格したということは川内原発は最高レベルの安全性が満たされたということか。
 ◆ほぼ最高レベルに近いと思っている。日本は自然災害の厳しさは世界と比べて飛び抜けて厳しい。そういうものへの備えを相当厳しく求めている。
2014年07月17日

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