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2016年11月22日(火)_11月24日_11月25日の東京電力の記者会見の使用済み燃料プール関連部分の要約

(前略)

※以下はページの中間あたり
 (以下、24日の会見より)2F3号機のスキマーサージタンク水位低警報について、発生メカニズムを以下のように推定している。地震発生後、スロッシングにより使用済燃料プールの水面が揺れてプール水が水面の少し上にある空調の吸込み口へ流れ込む等でプールの水位が低下し、スキマーサージタンクへのオーバーフローが停止した。スキマーサージタンクからは冷却系へ水を送り出しているので、その分水位が低下するが、本来あるべきプールからの水の供給が途絶えていたため、回復するはずの水位が低下し続けて地震発生後約10分で水位低警報の設定水位に至った。使用済燃料プールの空調は、プール表面から湯気が発生した際などに、水面すぐ上の空気を吸い込んで排出するもの。地震などで水面が揺れると、ここへプール水が流れ込むことがあるので、入ってきた水を排出するドレンラインが設置してある(ドレンラインに流れた水は、プールには戻らない)。排気や排水など、R/Bから出て行くものは全て、フィルターを通す等して放射能濃度が十分に低いことを確認してから、排出される。
福島沖で発生した地震(2016/11/22)による津波の状況について(PDF 326KB)(25日公開)
潮位計の設置位置と観測記録。1Fで観測された津波による最大水位上昇量は約+1.6m、最大水位下降量は約-1.7m。
(以下、25日の会見資料より)1F共用プール南側のスロッシングによると考えられる水たまりは、今日22日に拭き取りを完了した。

使用済燃料プール冷却浄化系概略図
 2F3号機の使用済燃料プールの冷却系ポンプが自動停止したことで、また一部で盛り上がっているようなので、ここでおさらい。左図は、ふたつ目のお知らせの資料2より。
 使用済燃料プールは、水が入っている所に開口(配管の出口など)がないので、プールそのものが損傷しないと水が抜けないようになっている。プールは鉄筋コンクリート製でステンレスの内張がしてある。なので、地震動で大きな力がかかってもそう簡単には壊れない。コンクリートにヒビが入るようなことがあっても、ステンレスの内張が変形に耐えて、大きな穴が開くことはまずない。水が抜けなければ、燃料は水に浸かっている状態を保てるので、冷却系が停止しても燃料の温度が急激に上昇することはない。今回、ポンプが停止した時点でのプール水温は28.7℃、このプールの水が燃料の残留熱で温められ100℃を越えるとプールが沸騰し始め、蒸発して急激にプール水が減少し、燃料がむき出しになる。そうすると、燃料の温度は急激に上昇し始める。1Fの事故で4号機のプールが危ないと思われたのは、すでにプールの水が沸騰して失われているのではないか、という心配があったから(実際には水は残っていた)。つまり、使用済燃料プールがいよいよやばくなるのは、プール水がなくなってから、ということ。
 使用済燃料プールは、水が入っている所に開口(配管の出口など)がないので、プールそのものが損傷しないと水が抜けないようになっている。プールは鉄筋コンクリート製でステンレスの内張がしてある。なので、地震動で大きな力がかかってもそう簡単には壊れない。コンクリートにヒビが入るようなことがあっても、ステンレスの内張が変形に耐えて、大きな穴が開くことはまずない。水が抜けなければ、燃料は水に浸かっている状態を保てるので、冷却系が停止しても燃料の温度が急激に上昇することはない。今回、ポンプが停止した時点でのプール水温は28.7℃、このプールの水が燃料の残留熱で温められ100℃を越えるとプールが沸騰し始め、蒸発して急激にプール水が減少し、燃料がむき出しになる。そうすると、燃料の温度は急激に上昇し始める。1Fの事故で4号機のプールが危ないと思われたのは、すでにプールの水が沸騰して失われているのではないか、という心配があったから(実際には水は残っていた)。つまり、使用済燃料プールがいよいよやばくなるのは、プール水がなくなってから、ということ。
 今回、水位低の警報が出たのは、プール本体ではなくてスキマーサージタンクの水位計。プール本体と違って、スキマーサージタンクは冷却系へつながる配管が最低部から出ているので、冷却系の配管がどこかで破断すると(これは、プール本体に穴が開くよりもずっと起きる可能性が高い)急激に水位が低下する。これをほおっておくと、冷却系の中の水が抜けてしまって、冷却系を循環させているポンプが空回りすることになる。ポンプが空回りするとポンプが熱を持ち、回転軸部が焼付いたりして故障してしまう。そうなると、ポンプの交換が必要になるなど冷却系の復旧が大掛かりとなり、結果として冷却再開までの時間が長くなってしまう。このような事態を避けるために、スキマーサージタンクの水位が低下した場合は、冷却系のポンプを停止して、ポンプを守ることになっている。今回は、スロッシングでプールの水が一部空調系に流れ込んだためにプールの水量が減ってスキマーサージタンクへのオーバーフローが停止したために、スキマーサージタンクの水位が低下し続けて水位低に至ったもので、配管破断等により冷却系からの漏えいが発生した訳ではない(その後の点検で、冷却系からの漏えいはないことが確認された)。なので、点検後に速やかにポンプを再起動した、ということ(27日訂正。スキマーサージタンク水位低の原因については、上記のように24日の会見で新たな説明がされた。スキマーサージタンクの水位低警報がクリアされないとポンプを起動できないので、スキマーサージタンクの水位を上げるために注水がおこなわれたはずなのだけれど、それについては何も報告はない)(A系からB系に切替えたのは、地震の際に動いていたポンプが故障している可能性がないわけではないから、念のため、という配慮なのかもしれないけど、よくわからない)。
 それから、プール水の温度について。プールの水は冷却系で冷やされて帰ってきた水が入ってきて、その分あふれた水がスキマーサージタンクへと出て行く。特に中身をかき混ぜるような仕組みはないので、下の方が冷たく上の方があったかい。じゃ、プール水の温度はどこで測っているかというと、通常はスキマーサージタンクから冷却系へ出て行った所の温度(続報3によると、ポンプ吸込み口とのこと)をプール水温としている。記者会見で増田さんが「停止時の温度が28.7℃、再開時が29.5℃」と言ったのに対し、上昇率が0.2度/時より大きいじゃないか、という指摘があるけれど、28.7℃は上で言ったいわゆるプール水温(ポンプ吸込み口での温度)で、29.5℃はプールの表面での測定値とのこと。ポンプ停止時のプール表面水温が29.3℃という情報が追加で出てきた(続報3)ので、これと29.5℃を比べれば、確かに上昇率は0.2度/時である、という話。
 (以下、24日追記)何日くらい冷却系が停止しても大丈夫なのかは、もちろん状況によって様々だ。状況とは、プールの大きさ、収容している燃料の量、それぞれの燃料の履歴(何日間炉の中で臨界状態にあったか、臨界を停止してから何日経っているか。これにより残留熱の量が変わってくる)など。1Fと2Fでは、2011年3月11日に動いていた全ての炉がスクラムして以降、停止したままなので、残留熱の量は非常に小さくなっている。そのため、いずれの使用済燃料プールも1週間以上の余裕はあるのではないか。先日も1F1号機のプールでは10日間にわたり冷却を停止して工事を実施したが、その間に上昇した温度は7.2度だった(11月20日参照)。
 というか、実は、水冷ではなく空冷だけでも燃料の損傷が起きるような高温には達しないという話もある(1F3号機を例に評価した結果が、8月18日の監視・評価検討会の資料(第45回特定原子力施設監視・評価検討会)地震・津波対策の実施状況(PDF 588KB)14頁にある)。なので、本当に万が一、プールの水がなくなってしまうようなことがあっても、それが破局的な事態に直結することはない。これが、現在の状況である。

(後略)

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