戻る <<前 【記事75720】[速報]11月28日 原発は地震に耐えられるのか? 政府交渉原発再稼働と地震/火山/電気ケーブル劣化/避難計画(グリーンアクションHP2016年11月28日) 次>> 戻る
KEY_WORD:_
 
参照元
[速報]11月28日 原発は地震に耐えられるのか? 政府交渉原発再稼働と地震/火山/電気ケーブル劣化/避難計画

〇福島第二原発3号機の使用済燃料プール冷却停止
 プール水漏えいは4,000リットル。10か所の漏えい場所は確認さえしていない
〇壇他の式による地震動過小評価→レシピで採用されているから使っている
〇電気ケーブル絶縁低下を判断する具体的基準を国は持っていないと認める
〇熊本地震のような繰り返しの揺れは評価していないと認める
〇火山灰再評価は検討しているが、川内原発を止めることはしない
〇安定ヨウ素剤の服用時期
 「防災会議は避難と同時に服用」→規制委員会指針との違いを説明できず
〇熊本地震を踏まえても「屋内退避」→検討内容は語らず

◆福島第二3号機のプール冷却停止について
・規制庁は、22日の地震当日に東電から聞き取りをしたとして、漏れた個所は10か所だが場所は確認していない、3号機プールからの漏れは4000リットル、漏えい水の放射能濃度は基準以下、地震の揺れで、プール水面7センチのところにあるダクトに水が流出、その後サージタンク水位低下で、10分後に設定値になり警報・ポンプの空回りを防ぐために設定された値を超えたため、自動的に停止した、などと説明しました。
・4000リットルが、報道での485リットルの10倍と異なるため、問い質したところ、地震の揺れであふれた4000リットルが、7センチ上のダクトに入った、ダクトから漏えいして確認されたのが485リットルであったと説明しました。4000リットルの漏えいははじめて聞きました。
・これが想定内のことなのかと聞くと、基準ではプールの温度が65度を下回ればよいというだけで答えませんでした。しかし、7センチ上のダクトから水が出てしまうというのは構造的な問題があるのではないでしょうか。
・ポンプについては、2台のポンプは1か月交代で使うことになっており、Aポンプが1か月に近づいていたのでBポンプを起動した、Aポンプは壊れていない、漏れなどが見つかっていないとの回答でした。
・東電は当初、水面の揺れにより水位低下と検知されたと誤った説明をしており、田中委員長が国会でそれをそのまま発言しました。これについては、どのように発言したかは知らないと述べました。

◆火山灰再評価
・火山灰濃度評価で観測地点の火山灰層厚の違いを考慮すべきではないかという問いに対しては、火山灰が降る時間にもよるので影響を考慮することは難しいとの回答でしたが、影響することは認めました。
・富士宝永噴火の観測値の取り扱いですが、電中研レポートがある条件で求めたある研究の成果であることは認めました。設備対応が必要になる可能性も否定はしませんでしたが、現状で新知見が出て火山噴火があった場合に対応できない可能性が出てきたことから、バックフィットの対象として原発を止めてから検討すべきではないかと質すと、バックフィットの対象にするのかどうか検討が必要だし、バックフィットを決めてからも実施の前に手続きがいると。すかさず鹿児島から、川内原発はすぐに止めないと危ないではないか、と訴えがありました。

◆くり返しの揺れに対する耐震性
・熊本地震のようにくり返し強い揺れが原発を襲う可能性が、金属疲労の影響評価で反映されていない点について、美浜3号の配管を例に問い質しました。現状の耐震評価では、疲労の影響評価等で余震の影響は考慮されていないことを改めて確認しました。
・規制庁は、冷温停止まで1〜2日しかからない、地震後に点検と再評価を行うのでよいと説明しましたが、1〜2日のうちに強い余震が発生したらどうするのかと聞くと言葉を失い、基準地震動を余裕をもって決めていると言うだけでした。基準地震動の策定はまた別問題です。結局、疲労の影響評価で余震を考慮しない理由をあげることはできませんでした。原発の耐震評価は熊本地震の教訓をくんでいないことになります。

◆地震動問題
・武村式と壇他の式または片岡他の式を組み合わせて計算すると、質問事項の(注釈)で示したとおりになることは認めました。壇他の式では必ずアスペリティ面積が増加して断層面積を超える傾向をもつので、そのような式を使うことはとにかくやめるべきだと主張しましたが、規制庁は、片岡式はレシピに組まれていないし、そのような式があるというだけではだめで、全体的な評価がどうなるかが問題で、その検討はこれからだというのが回答しました。
・アスペリティ面積以外に何か問題があるのかと聞くと、応力降下量と言ったので、アスペリティ応力降下量かと聞くと、応力降下量と両方だと。何も問題は起こらないと反論すると、それは計算で確かめたのかと逆質問、そのとおりだというとそれ以上は何も言いませんでした。
・いったいいつになったら検討が終わるのか、たとえば福井地震のような地震が実際に起これば、それは武村式のような起こり方になるのだから、未熟だから放置してよいことにならないではないかというと、福井地震は断層長さの評価とかいろいろ問題があるなどと言いだす始末です。
・入倉・三宅式では過小評価になることを規制庁は7月27日付資料で認めていると書いたことに対しては、そのような意味では書いていないと否定。しかし、これはどう読んでもその意味でしかとれないと反論しました。
・壇他と片岡他での計算値の違いは認めながら、全体的な検討が必要だと逃げました。今にも福井地震のような地震が起こる可能性があるのにという点については答えませんでした。福井地震のデータ・評価について再質問する必要があります。

◆電気ケーブル
・焦点は絶縁低下に関する具体的な規格基準は存在しないことの確認にありました。配管では材質・直径・厚みなどに応じて必要最小肉厚が法的に定められているが、そのような具体的な規格は電気ケーブルの場合は存在しないと認めました。

◆避難計画
・規制委は、ヨウ素剤服用は、規制委が判断する、服用指示の具体的基準はないと回答しました。前回は専門家が会合を開いて判断すると説明していましたが、規制委と変えて返答しました。
・国の防災会議の文書(原子力災害対策マニュアル)には、指針の「規制委が服用の必要を判断」するという文言がなく、避難・一時移転時に服用を指示するようになっている件について、「基本は同じと読む」と回答しました。「同じと読む」根拠がどこに書かれているかはすぐには分からないと述べました。
・要援護者の避難については、時間がかかるため早期避難となっている現在の指針の基本原則は引き継ぐ、指針の見直しは、まず緊急事態区分(EAL)の見直しから始めることになるだろう(今週水曜の規制委の議題にあがっている)と回答しました。
・スクリーニング場所が一方通行になっている問題は、「一方通行」が一概に悪いというより、汚染の拡散を防ぐために、各自治体にも働きかける(これから)。また、若い女性職員を誘導係などに参加させないことは、9月30日の文書回答の2日程前に、福井県・京都府・関西広域連合等に電話で既に指示していると回答がありました。どの担当部署の誰に連絡したかは後程伝えてもらうことになりました。
・佐賀の防災訓練で使われた、コロコロを使った車両の除染方法については、問題はないとしながら、コロコロとブラシでタイヤ除染する、水を使えないときもある、除染できているかは不確実性はあるとし、その効果については検証も何もしていませんでした。
・熊本地震を踏まえた屋内退避については、困難についての検討は、「規制庁で検討した」というだけで、どのような検討をしたかは明らかにしませんでした。また、滋賀県知事からの要請については、UPZ内外で屋内退避か避難と一般的に答えるのみでした。
・事故時の被害想定については、規制委の指針は、福島原発事故と同等程度の事故でも避難できることを基本にしている。放射能の放出量も福島原発事故と同程度にと回答。しかし、実際には放出率は福島事故時の1000の1以下にして自治体に説明しています。

2016.11.29 阪上武(原子力規制を監視する市民の会)

戻る <<前 【記事75720】[速報]11月28日 原発は地震に耐えられるのか? 政府交渉原発再稼働と地震/火山/電気ケーブル劣化/避難計画(グリーンアクションHP2016年11月28日) 次>> 戻る