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川内原発 熊本地震級で溶融か 川内原発なぜ止めない

 震度7の激震が連続して起きた熊本地震。川内原発や伊方原発への影響が心配されるが、政府も原子力規制委も九電も止めなくていいと言う。「原発は硬い岩盤上につくられているので、地表の2分の1から3分の1ほどの揺れしかない。熊本付近の全断層が一度に動いてもマグニチュード8・1、それでも川内原発では152ガルくらいしか揺れない。」というような理由である。本当にこのままでいいのか。

   不安な今後、中央構造線上で連鎖か

 四月十四日、熊本で震度7の激震の後、十六日には再び震度7の激震、直後に大分、そして阿蘇と大地震が起き、それらの余震が長く続いています。これらは、西南日本を貫く中央構造線の断層上で起きました。悪いことに、これら震源域の北東には伊方原発があり、南南西には川内原発があります。

   川内原発沖に中央構造線か

 伊方原発は、6〜8km沖合に中央構造線断層帯があり、以前から地震が非常に心配されてきました。川内原発も中央構造線の末端にあるとして心配されてきました。こういう中、昨年の日本地質学会で大事な報告がありました。臼杵八代構造線(中央構造線)が薩摩川内市の沖合に定置している可能性があるというのです。
 報告の地図では、川内原発の沖合約6kmほどに点線が引かれています。一方、川内原発の目の前の甑海峡には、政府の地震調査委員会が九電の評価を酷評した甑断層帯や市来断層帯があります。マグニチュード7・5や7・2という大地震の可能性が指摘されている断層帯です。ひずみがたまっていないことをいのるばかりですが、現代の地震学でも地震予知はできません。

   熊本地震 震央付近で川内原発の耐震基準を大幅に上回りか

 日本で分かっている活断層は約2000、知られていないのはその3倍とも言われます。川内原発では、甑断層帯などのように震源を特定した地震に対する耐震基準(基準地震動:540ガル)を設けています。しかし、分かっていない活断層が原発直下や間近にあるかも知れません。それもいつ地震が起こるか分かりません。そのため、特定断層とは別に、震源を特定しない耐震基準(基準地震動:620ガル)も設けています。しかし、熊本地震(気象庁=前震・マグニチュード6・5)では、その震央付近で耐震基準を上回る揺れがあった可能性があるのです。地表の揺れは南北・東西・鉛直合成で1580ガル、鉛直だけでも1399ガルというとてつもない激しい揺れでしたが、地表とは別に地下でも観測されていました。そのデータを、原発での揺れと比較できるように換算すると、震央付近では1000ガルを超える揺れがあった可能性があるのです。
 ちなみに、私たちは地球の重力によって、地球から飛び出すことはありませんが、重力加速度である980ガルを超えれば、私たちは天井に頭をぶつけてしまいます。硬い地下の岩盤上でそれを上回る揺れが、熊本地震で実際に観測されたのです。捨て置けないことです。

   1004ガルを超えると炉心溶融の川内原発

 私たちは、今、自然に対してもっと謙虚に向き合うべきではないでしょうか。電力会社等は、「原発は硬い岩盤上に据え付けられているので、地表の揺れの2分の1から3分の1だから心配しなくても大丈夫です。」と、説明してきました。しかし、プレートがひしめき合う日本では、マグニチュード8とか9のプレート間巨大地震でなくとも、現実には、内陸直下型地震で約4000ガルという想像を絶する地震(岩手・宮城内陸地震)さえ起きています。川内原発では、この数字を超えると原発が破壊されるという限界点は、1号機が1004ガル、2号機が1020ガルでしかないのです。
 「川内原発地震で崩壊、高濃度の放射能県境を超える」というような緊急速報に接しないためには、今すぐ原発を止めるしかありません。

(図有)阿蘇カルデラ・加久藤カルデラ・小林カルデラ・姶良カルデラ・
    阿多カルデラ・川内原発・大分ー熊本構造線・布田川断層・日奈久断層
    臼杵ー八代構造線・仏像構造線
「九州山地西縁の日奈久断層の再検討」(日本地質学会2015.9長野)報告等を元に作成
(後略)

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