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「熊本」は「南海トラフ」の引き金にはならない…専門家指摘も「沖縄」の地震活動には影響か

 発生から24日で10日を迎えた熊本地震。西日本の南海トラフで起きる地震の前兆ではないかと心配する声もネット上などでみられるが、専門家は「無関係」と否定している。熊本地震は九州以南の特異な地殻変動と関連しており、沖縄地方の地震活動に影響を与える可能性も懸念されている。

 南海トラフではフィリピン海プレート(岩板)が陸のプレートの下に沈み込んでいる。この影響で西日本の陸地は北西方向に押されてひずみが蓄積しており、マグニチュード(M)8級の南海トラフ地震が近づくと、活断層が動いて内陸の直下型地震が増えることが知られている。

 昭和19年の東南海地震では、発生前の数十年間に鳥取地震(M7・2)などの直下型が多発。平成7年の阪神大震災(M7・3)も次の南海トラフ地震の準備過程の一つとみられる。

 では今回も“前兆”なのか。名古屋大の山岡耕春教授(地震学)は「内陸で地震が活発化するのは中国、四国地方までで、九州は関係ない。熊本地震が南海トラフ地震の引き金になることもない」と否定する。

 九州南西沖から沖縄地方の海域には「沖縄トラフ」と呼ばれる海底盆地が伸びている。ここは南海トラフと違って海溝ではなく、海底を南北に引っ張り拡大するような力が働く。この影響は九州中部にも及んでいるとされ、熊本県などに「別府・島原地溝帯」という溝状の地形を形成。周辺に多くの活断層ができた。

 熊本地震はこうした大規模な地殻変動を背景に起きたもので、気象庁も「南海トラフ地震とは仕組みが異なり、影響を与えることはない」とみている。

 地震活動は今後、さらに東西へ拡大するのか。地溝帯の東側には、16世紀に広範囲で連動した中央構造線断層帯という長大な活断層が隣接しているが、東大地震研究所の古村孝志教授(地震学)は「発生間隔は2千〜3千年で、次の地震のエネルギーはまだ十分にたまっておらず、影響する可能性は低い」と話す。

 一方、西側の沖縄トラフはどうか。琉球大の中村衛教授(地震学)は「熊本から遠い上、多数の細かい断層の集まりのため北部を除いて影響しない」とみる。

 古村教授は「沖縄トラフ北東端に近い鹿児島県の甑(こしき)島周辺では、昨年11月から今年にかけて最大M7級の地震が続いていた。これらが逆に熊本地震に影響を与えた可能性もある。沖縄トラフの今後の地震活動は分からないが、津波を伴うM7級が発生する恐れがあり、警戒を怠ってはならない」と指摘している。

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