【記事18213】柏崎刈羽原発 揺れ 全国想定の2.7倍 直下の岩盤 加速度993ガル 耐震策見直しも(毎日新聞2007年8月26日)
 

※以下は上記本文中から重要と思われるヶ所を抜粋し、テキスト化したものである

 新潟県中越沖地震の際に、東京電力柏崎刈羽原発直下の岩盤で記録された揺れ(993ガル=ガルは加速度の単位)は、「事前に予測できない断層による地震への備え」として、全国の原発が共通に想定している揺れの約2・7倍だったことが東電の観測で分かった。専門家からは「中越沖地の揺れを共通の想定にすべきだ」との指摘が出ている。各原発が大幅な耐震想定の見直しを迫られる可能性が出てきた。
 原発では「解放基盤」という一定の固さの岩盤で想定される揺れを基に耐震設計をする。柏崎刈羽原発では1号機の地下255メートルに、解放基盤の揺れを測る地震計があった。揺れの強さの指標となる地震波の加速度は東西方向993ガル、南北方向753ガルだった。
 国の旧原発耐靂指針は「事前に予測できない断層による原発直下地震」への備えを全原発に求めた。電力各社はこの地震の揺れとして、解放基盤で370ガル前後を想定してきた。全国17原発中8原発で、これが耐震設計上の最大想定だった。
 旧指針は、周辺の断層調査でより強い揺れが予測されればそれに耐える設計を求めたが、最大の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)でも想定は600ガル、柏崎刈羽原発は450ガルだった。
 指針は昨秋改定され、「事前に予測できない断層による地震」の想定も引き上げられたが、それでも事実上450ガル程度にとどまっている。
 今月開かれた原子力安全委員会の耐震安全性調査プロジェクトチームでは、中越沖地震を「予測できない断層による地震」と位置づけるべきだとの指摘が出た。指摘に従えば、中越沖地震の993ガルが新たな共通想定となり、名原発は耐震策の見直しを求められる。
 指摘した同チーム委員の山崎晴雄・首都大学東京教授(地震地質学)は「地震の前に調査して分かるのは地下5キロ程度までの断層だ。全国の原発で中越沖地程度の揺れを想定すべきだ」と主張する。 【高木昭午】

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