【記事18348】原発沖断層は「活断層」 柏崎・刈羽 東電03年には把握 保安院 公表指示せず(新潟日報2007年12月6日)
 

※以下は上記本文中から重要と思われるヶ所を抜粋し、テキスト化したものである

 東京電力が柏崎刈羽原発の設置許可申請に伴って行った海域調査で断層を過小評価していた疑いが強まっていた問題で、東電は五日、同原発2−5号機の設置許可申請のために一九七九年以降に実施した海底断層調査で活断層ではないと評価していた断層について、中越沖地震発生後に同原発沖合で行った同調査の暫定評価の結果、活断層と認定したことを明らかにした。暫定評価ではあるが、設置許可申請時の評価を覆したことになる。この活断層はマグニチュード6・5−7・5規模の地震を引き起こす可能性がある。
 東電はさらに、今回評価した断層を含む複数の断層を二〇〇三年の時点で活断層と把握していたにもかかわらず公表せず、報告を受けた経済産業省原子力安全・保安院も公表の指示はしていなかかった。
 今回、活断層と評価したのは同原発から十八・五`沖合の海底にある「F−B断層」。6、7号機の設置許可申請時には長さ七ー八`とし、活断層ではないとして国に申請していた。だが、中越沖地震後の海域調査を基に暫定評価を実施し、活断層の長さを申請時の約三倍となる約二十`に修正。五日の国の作業部会に報告した。
 東電は地震前にも断層評価をしていたことも明らかにした。国の指示で〇二年夏に開始し、〇三年六月に国に報告した再評価では、海底面に明確な断層がなくても、たわんだような地層の地下に活断層が存在するとの専門家の最新の知見を踏まえて実施。その結果、「活断層の可能性がある」と保安院に報告していた。
 東電は〇三年の再評価結果をこれまで公表しなかったことについて「原発の安全性は確認できていた。中越沖地震発生後も公表しなかったのは、地震の調査を迅速に進める方が重要と考えた」(原子力設備管理部の酒井俊朗グループマネージャー)と説明。保安院原子力発電安全審査課の森山善範課長は「再評価結果は設置許可時に想定した地震動を超えていない。耐震設計に影響もなく、公表しなかったことに問題はない」としている。
 新潟日報社が入手した設置許可当時の海底断層調査のデータを分析し、複数の断層の見落としや過小評価を指摘した東洋大の渡辺満久教授(地形学)は、東電の再評価について「(F−B断層は)二十`では短すぎる。十年前でも十分活断層と読み取れたはずだ」とあらためて批判した。
 東電は同日、〇三年当時で活断層の可能性があると再評価したF−B以外の断層も公表。設置許可申請時には断層としていた二つの断層を活断層と修正したはか、当初は断層と認定しなかった四つの断層を新たに活断層と認めていた。
 
 渡辺満久・東洋大教授(変動地形学)の話
 
 しゅう曲構造があるにもかかわらず、地層をずらしていないとの理由から活断層でないと評価するのはかなり特殊な見方で、あり得ない。80年当時の文献でもしゅう曲構造と活断層の関係を認めているのに、なにを今さらといった感じだ。同じ理屈で他の原発でも見落としがあるかもしれないので調べ直すべきだ。

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