【記事18423】揺らぐ安全神話 柏崎刈羽原発 はがれたベール 検証・設置審査 <5> 出来レース 「追試」重ね却下ゼロ 国と電力 あうんの呼吸 行政通じ把握 ただの視察(新潟日報2008年1月6日)
 

※以下は上記本文中から重要と思われるヶ所を抜粋し、テキスト化したものである

 ■行政通じ把握
 
 「電力会社の申請は審査委員に『駄目』とは言わせない。何度も補正を出し直すので、最後には『妥当』となる」。大半の原発の安全審査を担った地質専門家の垣見俊弘(七八)は明かす。
 さらに、意外な事実も浮かび上がった。理化学研究所(埼玉)の所員として柏崎刈羽をはじめ多くの原発を審査した浜田達二(八五)の回想は生々しい。
 柏崎刈羽のケースではないが申請書類に問題があり、審査委員の一人が「申請をいったん却下し、出し直させるべきだ」と指摘したことがあった。だが、事務局の役人は「いや、それはあうんの呼吸でやる」とやんわり断ったというのだ。
 次回の審議。前回示された問題点をクリアする内容の追加補正書類が電力会社側から″自主的″に提出されてきた。「電力会社は本来、われわれの議論を聞いていないはずだ。でも実際は行政庁を通して把握し、『却下』と言われる前に修正版を出してくる」。浜田は苦笑した。
 「ノー」を事実上、封印した安全審査で、岩盤が他原発に比べて軟弱といわれた柏崎刈羽も、マグニチュード8規模が想定される東海地震の震源域にある中部電力浜岡原発(静岡県)も合格してきたことになる。
 そもそも、審査に参加した専門家は原発の立地点を本当に適当だと思っていたのか−。垣見は正面からは答えず、「本音を言えば、適地を選べるなら選ばせてもらいたい」と、立地候補地決定後にしか審査できない歯がゆさをにじませた。

KEY_WORD:原子力基本法:「原子力公開資料センター」:東京電力柏崎刈羽原発:東京工業大教授の衣笠善博:地質専門家の垣見俊弘:理化学研究所(埼玉)の所員として柏崎刈羽をはじめ多くの原発を審査した浜田達二:東海地震:中部電力浜岡原発:元日本地震学会会長の大竹政和:前原子力委員長の藤家洋一:CHUETSUOKI: