[2021_07_30_07]規制委に「敦賀原発2号機の審査終了」を要求しよう うそつきデタラメ日本原電に原発を再稼働させる資格なし 規制委は「東海第二原発のデータ」も徹底して検証せよ 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ舎2021年7月30日)
 
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規制委に「敦賀原発2号機の審査終了」を要求しよう うそつきデタラメ日本原電に原発を再稼働させる資格なし 規制委は「東海第二原発のデータ」も徹底して検証せよ 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

1.審査会合で審査打ち切り検討へ

 日本原電(原電)敦賀原発2号機の審査を巡り、規制委員会は7月28日の審査会合でデータ捏造問題について事務局の報告を中心に議論した。
 原電はすでに作成、提出済だった資料のデータを削除し、書き換えた所について、一部上書きもしていたが、その経緯の調査を巡っては更田豊志委員長、石渡明委員などから異論が続出。
 別の資料にも疑惑があるとして再稼働への新規制基準適合審査を今後も継続するかどうか、8月18日の定例会合で再度議論し判断することにした。
 特に石渡委員(専門は地質学)は、資料の書き換えや誤った記載が少なくとも一昨年以降相次いでいるとして「資料が適切なものか、正しいかどうかについて非常に疑問がある」と指摘、また、東海第二原発についても触れて「同じ会社なのになぜこうした違いが生じたのか明らかにする必要がある」として、審査を止めるべきとの意見を表明した。(NHK7月28日)

2.地質柱状図の書き換え

 原電がデータを書き換えたのは、地質柱状図。地震活動の痕跡が残るとされていたボーリングコアの観察データを、「未固結」から「固結」に書き換えるなどして、破砕帯の地震活動の痕跡とされたものをなかったことにした。これは「書き換え」ではなく、科学データの偽造という。
 これについて規制庁が原電に立ち入り調査を行い、「書き換えのいきさつ」を調査し、誰が、何のために、何時、おこなっていたかなどの情報を聴取していた。
 そのまとめ文書が「日本原子力発電(株)敦賀発電所2号機ボーリングコア柱状図データ書換えの原因調査分析に係る原子力規制検査の実施状況(経過報告)」(検査の実施状況)として会議に提出された。

3.検査の実態に指摘

 更田委員長は、規制庁事務局の現地調査の報告について次のように指摘をしている。
 「検査の実施状況」で記載されている「把握された事実関係」には、随所に「認識」や「確認された」という言葉が記載されている。
 これは規制庁の職員が原電への聞き取りにより「把握した」ものであり、「事実とはいえないのではないか」と。
 事務局の検査と報告の仕方に異論を述べた。
 そして「聞き取りしたものは本当のことなのかどうか確認できていない。原電がこう言っているということにすぎない。(表題は)「聞き取り」としなければおかしい。」「把握された事項と言う書き方は受け入れられない」「役人は直ぐに確認したというが、事実を確認したということとは別だということを理解していない」
 事務方の検査が原電の都合の良い結論の聞き取りになっているのではないか、との指摘だった。

4.科学データのねつ造動機を解明しない規制庁

 敦賀2号機原子炉建屋直下の断層は、規制委の専門家チームにより2013年5月に地震を引き起こす活断層と認定された。
 原電は、これを否定しなければ原発が廃炉になることから、規制委の見解を覆そうとしてきた。その中でも地質データは審査の行方を左右する最重要資料である。
 審査で活断層と確定すれば廃炉を免れないことから、それを回避するためにデータの偽造、ねつ造まで行っているとすれば、動機としてわかりやすい。
 それに対して規制庁の事務局の聞き取り調査は、原電の言い分をただ並べただけで、聞き取り相手も不明確。審査会合での規制庁事務局と更田委員長とのやりとりだと、職責さえ委員に伝えられておらず、聞き取った先の「責任者」が、過去に審査会合に出席したことがあるかすら事務局は即答できない。
 さらに中間報告では、原電の聞き取り内容が事実かどうかさえ明確に出来ておらず、原電の主張についても何ら具体的根拠を示しておらず、検査の体を成していない。
 これに対して更田豊志委員長以下、異論が続出。検査手法についても見直すべきとされたのである。

5.「東海第二原発」の審査も見直すべき

 規制委の委員から「東海第二原発」について言及があったことは非常に大きい。
 敦賀原発2号機の審査で起きたことが「東海第二原発」の別のフェーズにおいても発生していた可能性があるとして、「東海第二原発」で行われた審査の資料を全部見直すべき事を意味している。
 同じ会社だから、同じ事を繰り返してきたと疑ってかかるべきだ。
 この種の審査を「性善説」でしてはならないことは、福島第一原発事故の重大な教訓のはずである。
 審査において文書の偽造は、明らかな不正行為であり、これだけで審査打ち切り、敦賀原発2号機は再稼働不許可にすべきだ。
 さらに石渡委員らは「敦賀原発2号機の審査が続けられなくなった場合、東海第二原発で残っている書類確認などを進めるのはどうなのか」など、東海第二原発の再稼働に必要な手続きにも影響する可能性を示唆した。(NHK7月28日)
 審査会合では、「このように、敦賀2号機の審査資料作成においては、柱状図の位置づけに対する関係者の認識の違いがあったことや、肉眼観察及び薄片観察による膨大な破砕帯に係るデータを処理するために必要な業務管理が適切に実施できていなかったことが確認された。」とする「検査の実施状況」の結論を含めて、結論は先送りされた。
 私たちも、原電という会社の構造的な問題として、いずれの原発も審査を打ち切ることを、いろいろな場面を通じて求めていこう。

※事故情報編集部より
 日本原電は、来年の2022年8月か9月に「東海第二原発を再稼働させたい」と発表している。
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