[2017_07_15_07]中越沖の教訓生きず「福島事故に」_島崎・前原子力規制委員長代理語る(新潟日報2017年7月15日)
 
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中越沖の教訓生きず「福島事故に」_島崎・前原子力規制委員長代理語る

 原子力規制委員会の前委員長代理で、東京大の島崎邦彦名誉教授(71)=地震学=が2007年の中越沖地震から16日で10年となるのを機に、新潟日報社のインタビューに応じた。中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発が設計時の想定を超える揺れに襲われ、被災したことについて「原発の想定には不十分なものがあると反省するべきだった」と話した。この教訓を十分生かせなかったことで「次の重大事故(東電福島第1原発事故)につながった」との見方を示した。
 島崎氏は福島事故の教訓を踏まえて12年に発足した規制委の初代メンバーで、地質・地盤関係の審査を担当した。14年に退任した後も原発の耐震安全性を巡って発言を続けている。
 事故の原因とされる東日本大震災に伴う大津波と同規模の津波を東電が08年に予測していたことに触れ、「3・11は想定外ではなかった」と指摘した。「中越沖地震を機に、他に(安全性が)足りないところがないかと言う目で見れば、福島事故を防げたかもしれない」と強調した。
 中越沖地震の教訓が生かされなかった理由について「原子力関係者は、(原発の)本体は『大丈夫だった』と、安全を強調する方向に動いてしまった」と振り返った。
 福島事故後、複数の原子力関係者から「(中越沖地震後に)間違った方向に行ってしまった」と言われたことを明かした。
 全国の原発敷地内における断層問題では、島崎氏が団長役を務めた規制委調査団が13年、日本原子力発電敦賀原発(福井県)の2号機直下にある断層を「活断層」と認定した。
 電力業界から猛反発を受けながらも判断を曲げなかったことについて「科学的に駄目なものをゆがめてイエスにしたら、科学の信頼性が薄らいでしまう」と語った。
 地震など自然現象と関係の深い分野の科学は、現象の全体像をつかむことに限界があると説明。「われわれが(現在)知っていることが全てではない。自然が全てを決めるのだから、謙虚でなければならない」と話した。

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