[2018_09_15_01]東海第二原発再稼働は日本原電存続のための時間稼ぎ 9/7東海第二原発再稼働問題を訴える記者会見に参加 原子力規制委の延長OKが出ても即再稼働ではない 渡辺寿子 (原発いらない!ちば)(たんぽぽ舎2018年9月15日)
 
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東海第二原発再稼働は日本原電存続のための時間稼ぎ 9/7東海第二原発再稼働問題を訴える記者会見に参加 原子力規制委の延長OKが出ても即再稼働ではない 渡辺寿子 (原発いらない!ちば)

1.東海第二原発再稼働は日本原電存続のための時間稼ぎ

◎ 9月7日「とめよう!東海第二原発首都圏連絡会」の主催で東海第二原発再稼働問題を訴えるための記者会見が衆院第二議員会館でありました。
 東海第二原発再稼働・20年運転延長問題の重大性をマスコミの記者たちにアピールし、新聞、テレビなどで取り上げてくれるよう要請しました。
 前述のようにこの間の反対運動の進展、地方議会への働きかけの成果なども報告。

◎ 記者会見の最後に、聴衆から日本原電には東海第二原発を再稼働する意思、能力があるのかという質問が出ました。
 それに対し山崎久隆さんは、「日本原電が、むつの中間貯蔵施設の権利を一部所有していることから日本原電には関西電力を引き込むことなど電力再編に絡んだ様々な思惑がありそうだとしました。
 その上で、現在、日本原電が東海第二原発の再稼働に固執する一番の理由は、東海第二原発が再稼働できるかもしれないという状態を維持し続けるためであろうと述べました。
 日本原電が持っている4基の原発のうち日本で初めて商業運転した東海第一原発は老朽化で廃炉作業中。福井県の敦賀一号も廃炉が決定。敦賀二号も建屋下に活断層が走っている可能性が指摘され、再稼働は見通せません。
 稼働できる可能性があるのは東海第二原発だけとなり、これが稼働できないとなったら日本原電は会社を維持できなくなります。
 日本原電にとって会社の存亡を賭け、東海第二原発が再稼働できるかもしれない状態を維持し続けることが重要なのです。」と述べました。

2.原子力規制委の延長OKが出ても即再稼働ではない

◎ 9月13日原子力規制委員会は東海第二原発の再稼働・運転延長に関する審査をほぼ終了したとする報道が流れました。
 それによると規制委は早ければ9月下旬にも再稼働の審査で正式合格とするか判断する見通しで、正式合格となれば工事計画と運転延長の審査でも認可するとみられるということです。
 このような報道が流れても私たちとしては原子力規制委が11月27日までに20年運転延長のOKを出すのを何としても阻止するのが第一目標です。
 しかし、万一原子力規制委が11月27日の40年運転終了期限までに運転延長の認可を出したとしても実際の再稼働までにはまだまだ高いハードルがあります。
 安全対策工事の終了予定は2021年3月でそれまでは再稼働できません。
◎ 新規制基準で20年延長が認められた3基の原発、美浜3号、高浜1、2号は、様々な工事や審査が行われていて、再稼働までにはまだまだハードルがあり、すぐに再稼働できる状況ではありません。関電の発表でも美浜3号は2020年3月まで、高浜1、2号は2021年6月までは動くことはないとされています。
 また東海第二原発の再稼働には自治体の事前了解という壁が立ちはだかっています。今年3月原電は立地自治体の東海村だけでなく、周辺の5市にも再稼働を認めるかどうかの判断に加われるとする全国ではじめての協定を結びました。協定に加わっている1村5市のうちのひとつでも再稼働に反対すれば再稼働はできません。

◎ 9月1日の水戸集会の主催者挨拶で小川仙月さんは、再稼動する際の事前了解権が拡大された「茨城方式」の新協定を私たち市民が本当に力あるものにしなければならないと呼びかけました。この言葉の重みが実感されます。反対の世論を盛り上げてやすやすと再稼働などさせないようにすることが大事です。
 9月7日の院内記者会見で40年廃炉を決めた当時の首相だった菅直人さんは、20年稼働延長は例外中の例外であって、基本はあくまでも40年廃炉であるときっぱり明言しました。

3.タンカー激突が証明した大型漂流物の危険

◎ 7月13日に行われた東海第二原発についての規制庁に対するヒアリングにおいて質問事項のひとつに津波による漂流物の問題がありました。
 東海第二原発の北2kmには日立港、南に3kmには常陸那珂港という国際港湾があり、大型船舶が日々出入りしています。両港合わせて500〜57000トンの大型船舶が毎日平均8隻停泊している計算になります。

◎ ヒアリングで規制庁は「船舶は緊急に離岸するようになっているから問題ない」としました。ただしどのように各船舶にに連絡するかは未検討。「大きな漂流物は東海第二原発には到達しないことをシミュレーションで確認している」などといっていました。
 しかし3・11では津波で東北各地で大型船舶が流され、岸壁に乗り上げました。
 9月4日の台風21号による高潮・強風では、港内に停泊していた5000トンのタンカーが関西空港の連絡橋に激突し、くい込んでしまいました。
 この事故は津波や高潮が押し寄せてきた時、大型船舶などによる防潮堤の破壊が現実のものであることをはからずも実証してしまいました。

4.泊原発は稼働していなくてよかった(過酷事故にならず)
  泊原発の周辺にも多くの活断層

◎ 9月6日未明北海道胆振地方を震源とするM6.7の大地震が発生しました。北海道全道に渡って停電するという前代未聞の事態となりましたが、北海道の電力の約半分を賄っていた、震源に近い苫東火力発電所が地震による損傷で停止してしまったことが原因でした。
 苫東火力発電所の停止で電力の需給バランスが大きく崩れ、他の発電所も損傷を免れるために自動的に発電を停止し、全道停電という事態に至ったとのことです。

◎ 泊原発はどうなったか心配でした。泊原発のある地域は震度2位で原発に損傷はありませんでした。泊原発は長期停止中で原子炉に核燃料は入っていませんでした。
 しかし、燃料プールには使用済み核燃料があり、冷却し続けなければなりません。全道停電となってしまったので、泊原発にも外部電源が来なくなり、燃料プールの冷却が心配される事態となりました。さいわい非常用ディーゼル発電機6機が作動し、使用済み燃料の冷却は続けられました。非常用発電機がどれくらい持つのか心配でしたが、当日夜には外部電源が復旧して事なきを得ました。

◎ この事態を捉えて早速、再稼働推進勢力から泊原発が稼働していたら全道停電にはならなかったという意見が出ているようです(ホリエモンこと堀江貴文氏まで悪乗りしている)。
 しかしこれは大きな間違いです。
 今回の事態では1つの大型発電所(苫東発電所は合計出力165万kW)にその地方の電力の大半を頼るシステムの危険性が指摘されているわけです。
 ぜんぶで207万kWの泊原発が稼働するということは、やはり同じことになるわけです。

◎ 今回の地震の震源はたまたま泊原発の近くではなかったのですが、北海道も様々なところで大地震の可能性が予測されていて、政府の地震調査委員会は太平洋側の千島海溝沿いでM8.8以上の超巨大地震が起きる「切迫性が高い」とする長期評価を公表しています。
 次の地震は泊原発の近くが震源になるかもしれません。実際、泊原発の周辺には18もの活断層があると北海道電力自身が泊原発の耐震安全性評価で認めていて、現在の泊原発の再稼働審査はこの断層が焦点になっているのです。

◎ 泊原発の近くで大地震が起きたら稼働中の原発は大過酷事故を起こし第二の福島第一原発事故になる恐れが十分あります。
 プールの中の使用済み核燃料も放射能を出しているので冷却し続ける必要がありますが、稼働中の原子炉の危険性に比べたら大きな差があります。まして現在の泊原発は停止して6年以上になるので、使用済み核燃料の放射能はだいぶ減衰しているということです。
 今回の地震の震源が泊原発の近くでなかったからといって、泊原発が稼働していた方がよかったなどというのは、まったく浅はかな暴論です。
 今回の北海道地震の教訓は、いつどこで大地震が起きるかわからない日本では原発はどこでも稼働してはならないということです。

 10月20日(土)「とめよう!東海第二首都圏連絡会」の主催で、日本教育会館一ツ橋ホールで「東海第二原発運転延長STOP!首都圏大集会」が開催されます。
 会場を満席にして東海第二を止める力を高めましょう。
 どうぞふるってご参加ください。 (了)
    (原発いらない!ちばニュース9月号より了承を得て抜粋)
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