[2019_02_22_05]日本原電 経営苦しく、再稼働急ぐ 1基1000億円の収益改善効果(毎日新聞2019年2月22日)
 
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日本原電 経営苦しく、再稼働急ぐ 1基1000億円の収益改善効果

 日本原子力発電が東海第2原発(茨城県東海村、110万キロワット)の再稼働を目指す意向を地元に初めて伝えた。原電が再稼働を急ぐ背景には、原発以外に主な収益源がない中、綱渡りが続く待ったなしの経営状況がある。
 原電は日本で唯一の原発専業会社だが、2011年の東日本大震災以降、全原発が停止したままだ。4基持つ原発のうち2基は廃炉が決まり、敦賀原発2号機(福井県敦賀市)も直下に活断層があると指摘され廃炉の可能性がある。東海第2原発の再稼働が原電の経営の鍵となっている。
 原電は株主で売電契約を結ぶ東京電力ホールディングス(HD)など大手電力各社が支払う「基本料金」で経営を成り立たせており、18年3月期は2年ぶりの最終(当期)黒字を確保した。だが、大手電力から廃炉作業を請け負う新規事業も大きな収益源には育っておらず、自立した経営の実現には、1基で1000億円規模の収益改善効果があるとされる原発の再稼働に頼らざるを得ない状況だ。
 東海第2原発は1978年に運転を開始し、2018年11月に運転開始から40年を迎えた。同月に再稼働や20年の運転期間延長に必要な原子力規制委員会の審査に合格。運転延長の認可は東日本大震災で被災した原発では初めてで、東京電力福島第1原発と同じ「沸騰水型」(BWR)でも初めてとなった。
 再稼働に向けた安全対策工事費用は1740億円とされ、調達も課題になっている。原電が自力で工面するのは難しく、東電HDと東北電力に支援を要請中だ。地元からは「福島第1原発と同じ型の原発が稼働するのは怖い」などの声も上がっており、原電が経営改善の切り札として期待する東海第2原発の再稼働は一筋縄ではいかなそうだ。【袴田貴行】

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