[2021_08_18_04]敦賀原発2号機の審査を規制委が中断、再稼働の見通し立たず…資料書き換え問題(読売新聞2021年8月18日)
 
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敦賀原発2号機の審査を規制委が中断、再稼働の見通し立たず…資料書き換え問題

 日本原子力発電が敦賀原発2号機(福井県)の審査資料を無断で書き換えた問題で、原子力規制委員会は18日、再稼働の前提となる審査の中断を決めた。敦賀2号機の審査は開始からすでに5年半以上を経ているが、終了までにさらに数年以上かかる公算が大きくなり、再稼働の見通しが立たなくなった。
 敦賀2号機を巡っては、原子炉建屋直下を走る断層が「活断層」かどうかが焦点になり、審査は序盤で行き詰まった。活断層と認定されれば再稼働できず、廃炉に直結するため、同社は断層の活動性を否定する様々な資料を作成し、規制委に提出してきた。
 書き換えがあったのはこれらの資料で、2020年2月の審査で発覚。同社が原発敷地内の地質データに関する記述を審査の途中で80か所にわたり無断で書き換えた。うち55か所は同社に有利な表記になっていた。
 同社によると、17年2月頃、担当社員らが地質調査を実施した業者との打ち合わせで、地質データの記述を別の調査結果に書き換える方針を決定。当時、上司2人は不在で、その後、一方の上司が書き換えに気づいたが修正しなかったとしている。同社は「データをより良くするため」と説明した。
 この日の規制委定例会では、審査担当者が「データ処理に必要な業務管理が適切に実施できていない。資料の信頼性確保が必要だ」と指摘。規制委は、適切なデータ処理の体制が確認されるまで審査会合を開かないことを決めた。
 現在、国内には36基(建設中の3基含む)の原発があり、27基が審査を申請したが、審査が難航している原発も多く、再稼働は10基にとどまる。同社は原発専業の電力卸売会社で、廃炉中の2基を除き、敦賀2号機と東海第二(茨城県)の2基を所有する。しかし、どちらも10年余り稼働しておらず、厳しい経営環境が続いている。
KEY_WORD:断層データ無断書き換え_審査中断_:TOUKAI_GEN2_:TSURUGA_: