[2016_10_25_02]科学する人 42 地震学者 島崎邦彦さん(4) 外から監視、教訓を助言(東奥日報2016年10月25日)
 
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 2012年、敷地内断層調査の準備のため、島崎邦彦さんは原子力規制委員会事務局(原子力規制庁)の職員らと、日本原子力発電敦賀原発(福井県)を訪れた。焦点は、2号機原子炉直下の断層に活動性があるかだ。
 断層の延長上に掘った試掘溝の一部が青いシートで覆われていた。気になったが、原電側は「調査中」と渋った。後日、有識者と訪れて詳細に調べた。「あるじゃないか」。活動性ありと認定する重要な証拠を見つけた。
 活断層かどうかの認定は廃炉につながる可能性があり、重い責任を伴う。当事者から反発を招き、重圧もかかる。調査が長期化し、参加した有識者から「もう耐えられない」との声も上がった。
 そうした状況の中、何らかの「わな」に引っかからないよう、島崎さんは身の回りにも注意するようにした。痴漢のぬれぎぬを着せられないように、毎日の電車通勤では着席できる車両を利用した。税金関係にも細心の注意を払った。
 島崎さんは「重大な問題が明らかになっているのに、知らん顔をしてはいけない」と語る。2年前に規制委委員を退いた後も、原発の安全に関心を持つ。「国民の役に立ちたいと考えるなら、権力の外から監視し、科学的におかしいと声を上げることが大切。これが3.11の最も重要な教訓だ」。経験を基に若手研究者らに向け助言する。
KEY_WORD:有識者調査団_規制委の敦賀2号機直下に「活断層」を了承_:原子力規制委員会:原子力規制庁:TSURUGA_: