【記事66200】「津波試算、東電に報告」その後指示なし 子会社社員証言 原発事故公判(2/28第4回公判)(東京新聞_たんぽぽ舎2018年2月28日)
 
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「津波試算、東電に報告」その後指示なし 子会社社員証言 原発事故公判(2/28第4回公判)

 福島第一原発事故を防げなかったとして、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の勝俣恒久元会長(77)ら旧経営陣3人の第4回公判が28日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれた。津波の試算に携わった子会社「東電設計」の社員が証人として出廷し、津波対策のシミュレーションを東電に報告したが、その後指示はなく、結果がどのように扱われたかは分からないと説明した。
 東電設計は東電の委託を受けて2008年、国の地震調査研究推進本部が2002年に公表した長期評価を基に、最大15.7メートルの津波が福島第一原発を襲うと試算。公判では、勝俣元会長ら3人がこの試算を認識し、巨大津波襲来の危険性を予測していたかどうかが主な争点となっている。
 この社員は津波の試算結果を報告した1カ月後、海抜10メートルの敷地上に高さ10メートルの壁を設置すれば原子炉建屋などの浸水を防げるとするシミュレーション結果を東電に提出したと説明。「さらに低い位置にある非常用機器を壁で囲むなど、東電側で他の案も検討することになったが、その先どうなったかは分からない」と述べた。
 他に強制起訴されたのは武藤栄元副社長(67)と武黒一郎副社長(71)。3人はいずれも無罪を主張している。
 起訴状によると、3人は大津波を予測できたのに対策を怠って原発事故を招き、長時間の避難を余儀なくされた近隣病院の入院患者ら44人を死亡させたとしている。 (2月28日東京新聞夕刊6面より)

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