【記事69510】<東電旧経営陣公判>東電社員「炉の停止の切迫性なかった」(毎日新聞2018年4月17日)
 
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<東電旧経営陣公判>東電社員「炉の停止の切迫性なかった」

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第7回公判が17日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。事故前に想定津波の試算を担当していた東電の男性社員が第5、6回公判に続いて出廷し、国の調査機関が2002年に「福島沖を含む日本海溝沿いで巨大津波が発生しうる」とした「長期評価」について「原子炉を停止するほどの切迫性はないと考えていた」と証言した。
 勝俣恒久元会長(78)ら3被告は昨年6月の初公判で「巨大津波は予見できなかった」などと無罪主張している。男性社員も「(東日本大震災より前に)福島沖でいつ(大きな)地震が起きたかは分かっておらず、平均的な発生間隔も(福島沖に限らず広域で)400年に3回という情報以上のものはなかった」と話し、巨大地震発生に備えた原子炉の停止は考えられなかったとの認識を示した。
 また、11年に襲来した津波は敷地の東側から浸水したが、東電子会社が08年に高さ15.7メートルの津波を試算した際は「南側から」の想定だったと説明。東側からの津波に備えた防潮堤の設置は検討されていなかったとした。
 さらに、子会社の試算モデルとなった明治三陸地震(1896年に岩手沖で発生)と比較し、東日本大震災は「規模や津波の高さが違っていた」とも証言。試算に基づいて防潮堤などの対策を講じたとしても「浸水は防げなかった」と話した。
 公判後、福島原発告訴団は東京都内で記者会見。既に決まっていた6月15日までの今後10回の公判期日に加え、新たに7月27日まで6回の公判期日が地裁から通知されたと明らかにした。【石山絵歩、岡田英】

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