【記事74538】<東電強制起訴公判>消防隊員ら命の危険と隣り合わせ(毎日新聞2018年9月19日)
 
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<東電強制起訴公判>消防隊員ら命の危険と隣り合わせ

 ◇検察官役の指定弁護士、供述調書を朗読

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第27回公判が19日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。検察官役の指定弁護士が、事故現場で負傷した消防隊員や作業員が「コンクリートの塊が降り、死ぬかと思った」などと語った供述調書を朗読。命の危険と隣り合わせだった過酷な状況を明らかにした。
 原発事故を巡っては、2011年3月12日午後に1号機、14日午前に3号機がそれぞれ水素爆発。降ってきたがれきに接触するなどした消防隊員や自衛官、東電関係者がけがをした。
 この日は指定弁護士がまず、1号機の水素爆発で負傷した消防隊員の供述調書を読み上げた。隊員は当時、自衛隊員と原子炉へ注水するため、1号機に消防車で向かう途中、爆発に遭遇。「すさまじい爆風が来て、地響きでがれきが宙に浮くのが見えた」と振り返った。飛んできた鉄筋が消防車の窓ガラスを突き破って左腕に当たり、けがをしたという。
 続いて、3号機の爆発時に近くにいた作業員の調書も朗読した。作業員は自衛隊の給水車を先導中、3号機の原子炉建屋から「ボン」という音が聞こえ、コンクリートの塊が煙のように噴き出すのが見えたと回顧。コンクリート破片が長時間降り続く中、破片の一部で負傷したという。作業員は「事故の責任の所在は明らかになった方がいいと思う」とも語っていた。【飯田憲、岡田英】

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