【記事76250】<東電公判>津波対策 保留は「当然」 武黒元副社長が主張(毎日新聞2018年10月19日)
 
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<東電公判>津波対策 保留は「当然」 武黒元副社長が主張

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣3人の公判は19日、東京地裁(永渕健一裁判長)で武黒一郎元副社長(72)への被告人質問があった。東日本大震災の3年前に武藤栄元副社長(68)が津波対策を保留して専門家に検討を依頼したことについて「当然だった」と述べ、武藤氏の判断は妥当だったとの考えを示した。
 東電は2008年3月、政府の地震調査研究推進本部の「長期評価」(02年)に基づき、第1原発への想定津波を「最大15.7メートル」と試算した。これまでの公判では、武藤氏が08年7月、この試算結果を知りながら、専門家に長期評価の信頼性を検討してもらうよう部下に指示し、津波対策を保留したことが「先送り」に当たるかどうかが争点の一つになっている。
 武藤氏は試算結果などは「(当時上司だった武黒氏に)8月に報告した」と説明していたが、武黒氏はこの日の被告人質問で「記憶がない」と発言。「09年4〜5月に別の部下から聞いた」とした。
 また、武黒氏は長期評価に対する認識について「具体的な根拠がないと聞き、分からないことがあるならしっかり議論してもらう必要があると思った」と説明し、武藤氏の津波対策保留に理解を示した。「15.7メートル」の試算結果に関しても「切迫性や緊急性は感じなかった」と語った。
 次回公判は30日、冒頭に武黒氏への被告人質問の続きが行われた後、3被告のうち最後の勝俣恒久元会長(78)への被告人質問が行われる予定。【蒔田備憲、柳楽未来】

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