[1995_02_22_20]技術の枠を結集した構造物の危険性 PAGE 194-195(検証・危険列島 新版 (生越忠)1995年2月22日)
 【図31】泊原発の敷地およびその周辺地域における活断層の分布図(『日本の活断層』による)
※編集者注:P196から引用
※編集者注:以下はP194-195をテキスト化したものです。
 つの「地震の巣」に囲まれていることは、東海村の原子力諸施設の立地点とまったく同様である。
 ここで、東海村の原子力諸施設およぴ「常陽」の地震時における危険性の問題について、とくに言及しておかなくてはならないことは、東京都防災会議地震部会が右の「地震の巣」の存在を明らかにしたのは、二つの原発の営業運転の開始後のことで、また、「常陽」の初臨界以後のことであり、したがって、これらの原子力諸施設の耐震設計には、「地震の巣」の存在は考慮外におかれているということである。
 また、東海再処理工場の操業開始は、「地震の巣」の存在が明らかにされたあとの1981年のことであるにしても、同工場の設置許可は1970年、着工は1971年であったため、同工場の耐震設計にも、「地震の巣」の存在は、やはり考慮されていないことになる。
 このように、東海村の原子力諸施設のなかでも、安全上とくに重要なものである二つの原発および再処理工場の耐震設計は、「常陽」のそれとともに、最新の地震資料が考慮されていない、きわめて不十分なものであり、したがって、この地方で将来起こることが想定されうる最強の地震にもはたして耐えうるものなのかどうかは、はなはだ疑わしいといわざるをえないのである。

 3、とくに地震危険地帯とされていない場所の原発にも存在する地震時の危険性

 さて、現在営業運転中・建設中および建設準備中の日本の原発のうち、立地点が地震予知のための特定観測地域および観測強化地域、あるいはそれらの隣接地域から外れているものは、泊・志賀(旧名=能登)・玄海および川内の四原発だけである。
 しかし、これらの各原発には地震時の危険性は存在しないのかといえば、答えは、残念ながら「否」ということになる。そして、そのことは、すでに述べたように、日本列島全体が環太平洋地震帯のなかにすっぽり包まれており、いたるところに「地霊の巣」がある以上、当然至極のことなのである。
 そこで、右の四原発について、地震時の危険性の内容をいささか検討してみると、まず、泊原発の立地点のすぐそばには、長さ約16〜17kmの発足(はったり)断層とよばれる活断層が北西−南東方向に走っでおり(図31参照)、同断層と泊原発の立地点との間は、いちばん近いところでは五キロメートル内外しかない。そして、もし、この活断層が全面的に再活動すると、再活動した活断層の延長距離(L。km)と、それによって起こった地震の規模(M)との間にはlogL=0.6M−2.9という経験式が成り立つことが知られているので、M=6.8〜6.9程度の内陸直下型地震が起こるという計算になる。
 また、泊原発の立地点の西方の日本海海底には、ユーラシア大陸プレートと北米大陸プレートとの境界がほぼ南北方向に走り(図2右=18ページ参照)、この境界に沿って海溝型地震がときおり発生している。
 ゆえに、泊原発は、発足断層の再活動による内陸直下型地震と、二つの大陸プレートの境界に沿って発生する海溝型地震との二種類の地震に襲われるおそれがあることになるわけである。
 志賀原発は、立地点付近が福浦断層をはじめとする多数の活断層の密集地帯になっていること、また、1892年(明治25年)12月9日には、立地点の北西方約六kmの日本海海底を震央とするM=6.4の地震が起こり、12月11日にもM=6.3の続震が起こっていることなどから考
KEY_WORD:泊_活断層_:TOUKAI_GEN2_:JYOUYOU_:TOUKAI_GEN_:TOMARI_:SIKA_:GENKAI_:SENDAI_:環太平洋地震帯 :福浦断層