[2018_09_08_06]全域停電、他でも起きる? =初の「ブラックアウト」(時事通信2018年9月8日)
 
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全域停電、他でも起きる? =初の「ブラックアウト」

 北海道で6日未明に発生した大規模地震で北海道電力管内は一時、ほぼ全域で停電(ブラックアウト)が起きた。電気事業連合会によると、こうしたケースは初めて。他の地域でも同様の事態が起きる可能性はあるのか。

 ―なぜブラックアウトは起きた? 
 地震発生時に北海道電の供給の約半分を担っていた苫東厚真火力発電所3基(厚真町)が緊急停止したことが引き金になった。電力は需要と供給を一致させ、周波数を安定させて供給しないと、発電機器や供給先の工場設備などの故障につながる。苫東厚真の停止で供給のみが急激に落ち込み、不安定な状態での電力供給を避けるため、道内の各発電所がドミノ倒しのように停止した。

 ―他の地域で起きる可能性は。
 大手電力各社は「ゼロではないが、考えにくい」(幹部)と話している。2011年の東日本大震災直後には東京電力福島第1原発停止の影響などで東日本を中心に電力が不足。この経験を踏まえ、全国的に電力を融通できる仕組みが強化されたためだ。ある大手電力の関係者は「今回は北海道特有の事情があったのでは」と打ち明ける。

 ―特有の事情とは。
 北海道と本州間で電力を融通する「北本連系線」の容量が60万キロワットと小さく、本州側から十分な電力融通を受け入れる体制が整っていなかったことが大きい。本州と九州では278万キロワット、本州と四国では380万キロワットを融通できる。北海道電は増強工事を進めていたが、間に合わなかった。
 12年5月に泊原発(泊村)が運転を停止して以来、火力発電所で出力が最大の苫東厚真に供給を過度に依存する構造もあだとなった。北海道電は現在、苫東厚真と同規模の石狩湾新港火力発電所(小樽市)を建設している。経済産業省の担当者は「連系線の増強と石狩湾が完成していれば停電は防げたかもしれない」と語る。

 ―復旧の道筋は。
 北海道電は停止中の発電所の再稼働などを進めているが、しばらく供給面の不安は残る。世耕弘成経産相は7日、「(需要を抑え)少しでも多くの地域に電力を供給したい」と道内の家庭や企業に節電を呼び掛けると同時に、計画停電などあらゆる手段の準備を進める考えを示した。

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