[2014_10_12_02]福島原発の浄化地下水放出 漁業者反発 めど立たず(東奥日報2014年10月12日)
 
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 東京電力福島第1原発の建屋周辺の井戸「サブドレン」からくみ上げた地下水を浄化して海に放出する汚染水対策をめぐり、東電は浄化設備の試験運転で放射性物質を十分に減らせたと発表した。東電は浄化後の水を海に放出したい考えだが、風評被害を恐れる漁業者の反発は根強く、めどは立っていない。
 東電によると、浄化設備は計62種類の放射性物質を除去できる。試験は、半減期の比較的長い47種を詳しく分析。セシウム134が浄化前のlリットル当たり59ベクレルから検出限界値未満に、セシウム137は190ベクレルから0.07ベクレルに、ストロンチウム90も15ベクレルから検出限界値未満に低減した。
 第三者機関の分析でも、ともに検出限界値未満で、東電は「放射性物質を1500分の1未満に減らす性能を確認した」と強調する。
 東電は、建屋で汚染される前の地下水をくみ上げる「地下水バイパス」で海に放出している水と同程度まで浄化できたとして、今後、分析結果を漁業者に示し、サブドレンの水の放出にも理解を得たい構えだ。
 ただ放射性物質のトリチウムは除去できない。試験でも地下水バイパスの排水基準の1500ベクレルは下回ったが、浄化後も670ベクレルが検出された。
 また地下水バイパスと異なり、建屋周辺で汚染された水が対象のサブドレン計画に関し、漁業者の不安を取り除くのは容易ではない。
 漁業者らは今回の放出を認めると、タンクにためている高濃度汚染水を浄化した後の水の放出も追認せざるを得なくなる可能性があり「深刻な風評被害を招く」と警戒を強めている。
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