「大噴火が少なすぎる近年の日本」概要

概要
 
 当講演のレジュメより、当会(地震がよくわかる会)で講演内容の概要を説明する。
 プレートの動きにより、地震や火山が引き起こされる。水を含んだプレートがもぐりこむ約100kmのところで溶けて、それがマグマとなり上昇して、日本にある二つの火山帯(東日本火山帯と西日本火山帯)を形成する。日本には活火山と認定されているだけでも110もある。1979年の御嶽山噴火のいきなりな噴火により、「死火山」という分類がなくなってしまったという事実を紹介した。
 2014年の御嶽山噴火は戦後最大の犠牲者ではあったが、規模的には小さな噴火である。19世紀までの日本では、各世紀に4〜6回の「大噴火」が発生。しかし、20世紀に入ると桜島と北海道・駒ヶ岳の噴火の2回だけしかない。
 日本では「カルデラ噴火」は数千年ごとに一度起きている。そして、最後のカルデラ噴火は7300年前の喜界カルデラの噴火だ。よって、いつカルデラ噴火があってもおかしくない時期にきているといえる。  東日本大震災のあと、首都圏は一時の静穏期間が終わって、いままでよりは活発な地震活動にもどりつつあると指摘。
 富士山の宝永噴火は宝永地震の49日後だった。今恐れられている「南海トラフ地震」は宝永地震に匹敵する規模になるのではと言われている。よって、この地震が起きたなら、火山の噴火を誘発する可能性がある。  噴火予知は天気予報のような「大気の運動方程式」やアメダスような詳細がデータに相当するものは無く、確実性が低い。噴火予知において「前兆」をみつけ、予知に生かす試みがあるが、「前兆」があったのにもかかわらず、噴火せずというケースも多々あり、一筋縄にはいかない。
 火山の災害に苦しめられてきた一方で、恩恵にも浴している。美しい風光、温泉、四季のはっきりした気候、農業への良い影響等である。
 もともと首都圏は世界でも珍しいほど地震が起きやすい所である。とても危ないところに、知らないですみ着いたのが私たち日本人なのである。一方で、恩恵もある。災害があり得るということを普段から考えていることが、何より大事なことだと思う。

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