[1970_02_25_02]政経往来 原子力発電所建設にニコニコ 竹内知事(東奥日報1970年2月25日)
 
 ∇…24日の知事記者会見で、わが国最大の原子力発電所が本県に建設されるというデッカイおみやげが披露された。米の生産調整や県予算編成で表情の険しかった竹内知事も、陸奥湾・小川原湖開発が具体化に第一歩を踏み出したというわけで、この日ばかりはニコニコ顔だったが、これを機会に「陸奥湾・小川原湖臨海大型工業関発と統一したい」と宣言。これまで大規模開発プロジェクトと呼んでいたが「地元からプロジェクトとは何だ−との問い合わせがやたら多くて説明するに汗をかいている。これですっきりするだろう」と記者団にも協力を求めていた。

 ▽…政界のガラッパチの異名をとる田中自民党幹事長は大畑線の廃止反対の陳情団を前に「わかった。まあ、オレに任せておけ」といわんばかりの調子。「下北はこれから世に出さなければならないところ。そこから鉄道を取ったら下北はサルの国になってしまうじゃないか」と笑わせたり、その場で山田国鉄副総裁を電話に呼び出して「こんなことでは自民党としても困る。こういうふうに地元を騒がすようであれば、こっちも赤字線廃止問題は完全にタナ上げすることも考える」とドス≠きかせてみたりの大サービス。陳情団もさすがは角さん≠ニ大喜びだったが「廃止々々と悲劇的に書き立てる新聞が一番悪い」と県選出の某代議士も調子を合わせると、田中幹事長「イヤ、君、これこそ言論の自由だヨ」。これには一同爆笑。

 ∇…県の新年度予算の水産商工部関係の新しい銘柄は例によって金額的には小粒ぞらいとなりそう。竹内部長は「知事査定ではこれでもずいぶん苦労しましたヨ」と前置きしたあとフランスガキを例にあげた。この種苗生産はこれまで増殖センターが試険的にやり、企業化のメドを得た。そこでいよいよ陸奥湾内でホタテ貝、赤貝、アワビ並みに養殖の普及を図るための対策費を計上している。それはよいが知事は「日本でも洋食によく出るようになったが、本場の味より落ちる」と決めつけたといい「県の特産に…」と張り切る漁政課の面々も出ばなをくじかれた様子。だが同部長は「私自身、フランスへは行ったことがないから味のほどはわからん。何よりも沿岸漁業の振興が第一という信念を貫いたまで」と後日談を披露していた。

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