[1982_06_16_01]射場移転補償 泊漁協、強行採決で承認 出席わずか24人 多数の議決書が大勢決定 反対派 無効訴訟の構え 組合員一人を告訴へ 泊漁協・総合問題で(東奥日報1982年6月16日)
 
 自衛隊射爆場移転に伴う漁業補償の承認をめぐり混乱している上北郡六ケ所村の泊漁協(滝口作兵エ組合長)は15日午前、12日に中断した臨時総会を続開、多数の書面議決書と少数の出席で採決を行い、ようやく原案通り議決した。しかし、反対派理事は書面議決書を集める際に不正や不備があったとし、議決無効の訴えを起こす意向を示すとともに辞意を表明、射場移転は決着したものの漁業内部は一層混迷しそうだ。

 反対派 無効訴訟の構え

 継続総会は泊地区公民館で同日午前10時3分、滝口組合長が議長となり、12日引き続き行うと宣言。10時現在の出席は書面議決書による出席323人、本人出席15人(役員を含め24人)の347人の過半数で、定足数を満たし成立する、との判断で再開した。この時点で会場は、15人だけでガラ空き状態。
 同組合長は「これまで4回の会議で審議は尽くされたので直ちに採決を行う」とし、投票・開票立会人7人を指名、投票に入った。同10時20分過ぎ組合員が集まり始め、反対派が執行部と立会人に「何をやっているのだ」と詰め寄ったものの投票に対しては妨害せず、午前11時で締め切った。
 開票の結果、賛成320(書面306、本人14)反対24(書面14、本人10)無効3(書面3)となり、出席者の3分の2以上の賛成で原案通り承認し、同11時23分閉会した。
 継続総会は、執行部が同日で決着をつけるため、これまでは招集時刻の午前10時から1時間半以上たたないと人が集まらないのを見越し、混乱させる一部反対派が会場に来る前に採決に持ち込んだ奇襲戦法。総会通知書とともに発送した定款48条に基づく書面議決書(会場に出席しなくても賛否を表明できる)が継続総会でも有効と判断し、いわば多数の不在者投票と少数の出席者でゴリ押し採決する変則的な方法となった。
 これに対し滝口組合長は「抜き打ち的採択はしたくなかったが、一部の強硬派を封じ民主主義のルールに乗せるため、内部にしこりを残す不幸な形だがやむを得なかった」と述べた。
 一方、反組合長派の中村喜代松、赤石憲二理事は閉会後「書面議決書を集める際に買収などの不正があった疑いがあり、加えて書類上の不備があったので、臨時総会の議決無効の確認訴訟を起こす。また混乱させた責任をとり提訴の時点で辞任する」と語った。
 中村理事らによると、書面議決書の要件として(1)本人の署名・押印が必要(2)本人が不在で妻が署名・押印したのは無効(3)代理人が署名・押印した場合は本人の印鑑証明が必要ーといい、要件を満たしていない書面議決書は無効であり、これが混入した評決も無効と主張している。
 また組合員の一部には5分の1以上の署名で全理事の解職請求を起こす動きもあり、執行部内の対立、反対組合員の不満がウズ巻いている。

 組合員一人を告訴へ 泊漁協・総会問題で

 滝口作兵エ六ケ所村泊漁協組合長は15日、12日夕の臨時総会会場でマイクを床にたたきつけて使用不能にした樋口松之助組合員を議事進行を妨害した威力業務妨害と器物破損で野辺地署に告訴すると語った。告訴は14日の理事会で全員一致で決めたとし、近く手続きを取る。また野辺地署は15日の臨時総会で不測の事態が予想されるとし、目地幹士署長以下20人が会場周辺に出動したがトラブルはなかった。

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