[1986_06_02_02]核燃海域調査 厳戒の中スタート 初日、大きな混乱なし 六ケ所 海上作業順調に進む 警備陣とにらみ合い 泊漁業反対派 31隻が警備に出動(東奥日報1986年6月2日)
 
 核燃料サイクル施設の海域調査に伴う測定機器設置作業が二日夜明けとともに始まつた。午前四時半に測定機器を積んだ作業船が三沢漁港から出港、六時半過ぎ六ヶ所村むつ小川原港内に標識ブイ第1号を設置した。この日の六ヶ所村から三沢市にかけての太平洋沿岸海域は穏やがで、慎重反対派による妨害行動もなく海上作業は順調に進み、午前中に予定した計8地点の測定機器設置を完丁した。慎重・反対派漁民は泊地区で警備陣とにらみ合ったが、海上での阻止行動はなかった。合計21の海域調査ポイントのうち泊地区を含む残り五ポイントの設置作業は三日に行われる。
 同日の調査船は、三沢市漁協から出港した。午前三時半、県警、警備会社、事業主体の原燃サービスらによる厳重な警戒態勢のもと、乗組員らが集合。同四時前からはチャーターした漁船にブイやロープ、バッテリー、計測機などの資材を積み込み、同4時40分ごろから調査船六隻、監視船22隻、県警の設備船5隻が出港。六ヶ所村のむつ小川原港湾区域に同六時過ぎ次々と集結した。
 港湾区域内の通年調査ポイントは三地点。調査は同午前六時三十五分から始まったが、好天、無風の良好な天候に恵まれ、海上保安部の巡視船や監視船に守られ順調に海上作業を実施した。同10時ごろまでには、三ポイントでの測定機器設置をほぼ終了。引き続き午後から四季別調査ポイントへの測定機器設置作業に取り掛かった。
 この日の六ヶ所村には、午前四時ごろ、総合運動公園に県警の警備陣が集合、憐重・反対派が集結する泊漁協をはじめ調査舶の出港する三沢市漁港に配備した。六ケ所村の尾鮫地区に現地対策本部を設置、ヘリコプターのほか、約400人の警官を動員、警戒と規制に当たった。一方、海からは第一管区、第二管区からの応接を得た八戸海保などの巡視船、巡視艇31隻が調査海域周辺と泊漁港前出動。洋上からヘリコブターを飛ばし馨戒に当たった。
 調査地点の海上には、心配された慎重・反対派の抗議船や阻止船の突入もなく、混乱はなかった。午後からはむつ小川原港での調査に続き、四季別調査13ポイントへの測定機器設置作業が行われた。

 31隻が警備に出動
 
 八戸海上保安部が設置した海上警備本部(三宅教雄本部長)によると、調査海域には一日午後四時から二日早朝にかけ、同警備本部から大型巡視船「ざおう」(3800トン)をはじめ巡視船9隻、巡視艇、救急艇22隻の計31隻が出動して調査を見守った。

 警備陣とにらみ合い 泊漁協反対派

 泊漁港では、核燃から漁場を守る会などの泊漁協の反対派組合員が漁場監視船を出そうとして、警戒線を張った県警機動隊員との間でにらみ合いとなった。しかし、二日は泊漁協からは作業船を出さないこともあり、大きな混乱にはならなかった。
 二日午前四時半ごろ、核燃から漁場を守る会の坂井留吉副会長らが、泊漁協の漁場監視船「はやぶさ」の出港を準備した。警戒に当たっていた県警は「混乱が予想される」として出港の見合わせを要請。隊員約二百人が警戒線を敷いて船の乗り込みを阻止したため、反対派漁民約三十人との問でにらみ合いとなった。
 泊漁協の滝口佐兵エ理事らは「密漁の監視に行くのになぜ阻止するのか」「漁協の正常な活動を妨害するのか」と叫びながら詰め寄り、一時は騒然とした空気に包まれた。結局、県警が監視船の出港を認め、大きな制乱とはならなかった。
 一方、原燃二社と作業船契約を結んでいる泊漁協の海象調査泊対策協議会の約八十人は、荷揚げ場に午前5時ごろから集まったが「二日は泊から作業船は出ない、反対派を刺激したくない」(舘花昌之輔会長)として、5時40分ごろには解散した。
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