[1986_08_03_01]核燃海域調査 また漁民1人逮捕 泊沖で阻止行動、女性けが 「ロープ切断は偶然」反対派らが抗議 坂井副会長を保釈(東奥日報1986年8月3日)
 
 核燃料サイクル夏季海域調査は二日で予定通り十八地点に調査用のブイを設置して作業は終わった。しかし調査用ブイを漁船のスクリューに引っ掛け、ロープを切った泊漁協の慎重・反対派の組合員一人が逮捕され、けが人が一人出るなど、混乱した。
 逮捕されたのは上北郡六ヶ所村泊焼山、漁業林下金三(66)。野辺地署の調べによると、林下は仲間二人と、二日午前九時五分、沖合の第二地点に設置された調査用ブイのロープを漁船のスクリューに巻き付けてブイを引き抜き、さらにロープを切断、七百五十万円の損害を与えたもの。業務妨害と器物損壊の疑いで、泊漁港に戻ってきたところを野辺地署に現行犯逮捕された。これに対して慎重・反対派漁民は不当逮捕であると反発、野辺地署に抗議した。
 また海域調査のせめぎ会いの中で、巡視艇と慎重・反対派の漁船が衝突。衝撃で漁船に乗り込んでいた同村泊焼山、村畑とわさん(45)が機械に挟まれるような形となり、一週間のけがをした。
 夏季調査初日の二十九日には、タグボートに乗り移り座り込みを続けた核燃から漁場を守る会の副会長が逮捕されており、夏季調査だけで逮捕者は二人。また昨年七月の泊漁協の混乱総会の逮捕者らを合わせると、一年余りで核燃絡みの逮捕者は八人にも上る異常事態になった。

 坂井副会長を保釈

 二十九日、上北郡六ヶ所村泊沖で、調査用ブイの設置に当たっていた作業船に無断で乗船したとして艦船不法侵入罪で逮捕、青森地検に送検されていた「泊核燃から漁場を守る会」の坂井留吉副会長(61)=六ヶ所村泊焼山=は一日、証拠いん滅の恐れがないとして保釈された。

「ロープ切断は偶然」 反対派らが抗議

 「単純な事故をデッチ上げた不当逮捕。即座に林下さんを釈放しろ」ー。二日午後五時ごろ、泊核燃から漁場を守る会の高梨酉蔵会長ら五団体の代表者約三十人が、野辺地署を訪れ、署構内でシュプレヒコールをするなど、逮捕に強く抗議、釈放を求める要請書を提出した。
 同署を訪れたのは社党県本部、漁場を守る会、核燃から子どもを守る母親の会、核燃から郷土を守る上十三地方住民連絡会議、上十三地方労など5団体。泊の”カッチャ軍団”を中心に関晴正前代議士、泊漁協の滝口作兵工理事ら。
 滝口理事らは「林下さんは、調査船の周りをクルグル回る海保の船に巻き込まれるのを避けよう、混乱から抜け出そうとしてロープがスクリューに引っかかった。波があってロープがどこにあるかも分からない状態。ヘリがうるさいので港にえい航してから切ったが、全くの偶然」と話している。

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