[2014_08_12_01]来月退任の規制委・島崎氏 原発の火山噴火リスク 「基準見直し あり得る」(東奥日報2014年8月12日)
 
[テキスト文]
 9月に任期満了で退任する原子力規制委員会の島崎邦彦委員長代理は11日までに、共同通信のインタビューに応じ、審査に事実上合格した九州電力川内原発(鹿児島県)で注目された火山の巨大噴火リスクについて「研究が進んでいくことで(審査)基準などを全面的に見直すことは、火山に限らずあり得る」との見解を示した。
 島崎氏の退任で、これまで厳格に進められてきた原発審査への影響が懸念されているが、「これまで審査を重ねた経験や判断がある。それをひっくり返すことはあり得ない」と述べ、審査のあり方は変わらないと強調した。
 川内原発の周辺は過去に巨大噴火を起こしたカルデラ(火山)が集中し、原発の敷地まで火砕流が及んだ可能性がある。九電は、暁火前には大量のマグマが急速に供給されるとの海外研究などを根拠に「巨大噴火の危険は十分低く、観測で監視できる」と主張、規制委も認めた。火山学者らは「カルデラ噴火の知見は不十分で、九電の主張は科学の現状を無視している」などと批判している。
 島崎氏は「カルデラ噴火の実証的な研究が少ないことは事実」とした上で、九電が根拠とした海外の研究について「カルデラ噴火は非常にぽやっとした概念しかなかったが、時間スケールを初めて明らかにした画期的研究だ」と高く評価。九電の主張は「合理性を持っていると思う」と規制要の判断の理由を説明した。
 自身が退任した後の規制委については「(事務局の)、審査チームはどんどん専門性を高めている。原子力安全・保安院の時代とは違う」と述べ、地震や津波に関する審査の路線は継承されるとした。
KEY_WORD:原子力規制委員会:島崎邦彦委員長代理:九州電力:巨大噴火リスク:火砕流: