【記事58210】原燃、ウラン生産一時中断へ 問題相次ぎ規制庁が批判(デーリー東北2017年9月2日)
 
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原燃、ウラン生産一時中断へ 問題相次ぎ規制庁が批判

 ウラン濃縮工場(六ケ所村)で昨年冬に発覚した保安規定違反を巡り、再発防止策の策定後も原子力規制庁から品質保証の問題点を指摘されている日本原燃が、当面の間、製品ウランの生産を見合わせる方針を決めたことが1日、規制庁が公開した原燃との面談録で分かった。遠心分離機の更新などで生産が止まったケースは過去にもあるが、原燃が自主的に中断するのは極めて異例だ。
 再発防止策が3月に了承された一方、その後も経年劣化による設備故障などが濃縮工場で相次ぎ、規制庁は「安全が確保されるまで核燃料物質の取り扱いを止める必要があるのでは」との見解を示していた。
 8月29日付の面談録によると、日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県)で6月に発生した被ばく事故を巡り、規制庁が本年度第2四半期に実施した同工場の保安検査で、原燃に指示したウラン漏えい対策が不十分だったことが新たに判明。規制庁は「品質保証のチェック機能が働いていない。そもそも問題、課題を見いだす能力があるのか」と厳しく批判した。
 これを受けて原燃は、現在、唯一稼働している75トンSWU(SWUは濃縮能力の単位)の新型遠心機の中からウランを抜き取り、生産を一時中断させる考えを表明。設備の安全確認などで対応の改善策を図るとし、生産再開の見通しも立っていないという。
 同村の戸田衛村長は取材に「仮に停止となれば遺憾に思う。原燃にきちんとした報告を求めたい」と強調した。
 濃縮工場は5月、原燃の核燃料サイクル施設で初めて新規制基準への適合性審査に合格。現在も操業中だが、製品ウランの出荷は2013年度から5年連続でゼロが続いている。

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