【記事83050】東電福島第一原発事故教訓を無視して何が起こっても一旦稼働した原発を止めない規制委 火山灰新知見で報告徴収命令を出し関電の嘘報告を確認しながら高浜原発・大飯原発を止めず 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その198 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)(たんぽぽ舎2019年4月23日)
 
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東電福島第一原発事故教訓を無視して何が起こっても一旦稼働した原発を止めない規制委 火山灰新知見で報告徴収命令を出し関電の嘘報告を確認しながら高浜原発・大飯原発を止めず 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その198 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

 原子力規制委員会は、2018年12月12日の定例会議で「大山火山の大山生竹テフラの噴出規模見直しに伴う報告徴収命令」を発出した。
 大山火山の噴出規模が想定の2倍以上になるとの新知見を確認、「新知見は、…既許可の高浜、大飯、美浜における敷地の降下火砕物の最大層厚に影響を与え、その結果、原子炉設置変更許可の評価に用いた前提条件に有意な変更が生じる可能性がある」からだ。
 関電が2019年3月29日にその報告書を提出、4月5日に原子力規制庁と意見交換した後、4月17日の規制委定例会議で報告への対応を協議した。
 報告には、敷地における降下火災物の最大層厚が、高浜:21.9cm、大飯:19.3cm、美浜:13.5cmと、設置変更許可時の10cmを大幅に超えている。
 ところが、多くの問題点が明らかになった中で、関電が「聞いてもいないことを書」いた報告の結果、規制委が原子力規制庁に期限を明示せずに対応策の検討を指示しただけ。
 当然、この日の記者会見でも、「バックフィットをとらせるのか」、「原子炉の停止まで求めるか」、「関電が変更申請の意思がないとういうことについてどう捉えるのか」、「対策はとる前提でしょうか」、「それでもなお変更する必要がないとはどういうことか」などなどと記者がソフトに詰問。
 これに対して、更田委員長の回答は、「考慮の範囲から外すほど、頻度が低いものではない」ことを認めながら、「個別に判断していく」、「一定の対策を打つための期間を置いた上で施設の利用を認めるというのは、これまでどおり」、「5人での議論を踏まえて言うと、設置変更許可を要するという判断」、…と逃げ、高浜・大飯を止める気は全くない。
 さすが、原子力規制委員会は再稼働推進委員会であり、稼働原発に運転停止命令を出さない委員会である。
 川内原発は緊急時対策所無しで稼働開始し、熊本大地震で川内原発周辺地域が震度5弱を観測し気象庁も向う一カ月に大地震の可能性をした時にも川内も伊方も玄海も止めなかった。
 東電福島第一原発事故において、地震による影響はともかく、15m超えの津波を学会が予測し、原子力安全・保安院も東電も対策を検討しながら先延ばしして大惨事を招いた教訓を、現規制行政当局が全く反省せず対応しないのだ。
 なお、17日の定例会議での規制庁の説明と委員との討議で、関電の報告に次のように疑わしいことが沢山あることも記録しておく。
○規制委が大山生竹テフラ(DNP)の見直しを命じたのに「聞いてもいない」大山倉吉テフラと並べて報告(注:テフラ:火山噴出物)
○規制委が越畑地点等の7地点における降灰層厚に基づく評価をも命じたのに、関電は「命令の解釈を誤り」14地点で評価した。
○移流拡散シミュレーションの怪
 風によってテフラがどう運ばれ(移流)、どう散らばっていくか(拡散)をシミュレートしている。ところが、風向きが若狭に向いていない。
 原子力規制庁の「現在の風の、それぞれ1月、2月、3月の、12月までの月平均の条件のうちで最も敷地にたくさん火山灰が降るような風を選んでいる」の説明も納得しがたい。
 伴委員も「風向きをもっと厳しくした評価が必要ではないか」と指摘している。「ここで変えたのは噴出量のパラメータ」だけと強調するが原子力規制庁の説明も怪しい。
 このように、関電のいい加減な報告と、原子力規制庁の甘い対応と、そして再稼働推進委員会たる原子力規制委員会によって、危険な原発が動かされ続ける。

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