【記事66591】事故発生時 原電「国が補償」 「東海第二」25回の住民説明会終わる(東京新聞2018年3月7日)
 
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事故発生時 原電「国が補償」 「東海第二」25回の住民説明会終わる

 東海村の東海第二原発を巡り、運営する日本原子力発電(原電)による住民説明会が終わった。原電が運転延長申請してから初めての開催で、計二十五回で住民延べ約九百十人が参加した。原電から再稼働を示唆する発言がある一方、事故が起きたときの賠償について「最後は、国が補償する」などと、原電として手に負えないことも示した。(越田普之)
 説明会は二月三日から三月四日まで、原発三十キロ圏内の自治体に、小美玉市を加えた十五市町村で開催。原電が原子力規制委員会に新規制基準に基づく審査を申請してから、毎年度開かれ、今回で四回目になる。
 説明会の質疑では、原電が再稼働を目指すかどうかに関心が集まっていた。
 原電側は「再稼働に言及できる段階でない」と繰り返す一方、即時廃炉を求める声に対し「現時点では、原子力の選択肢を捨てるべきでない」と再稼働をにおわせた。
 経営問題も関心が高かった。安全対策費に約千八百億円かかる点に、参加者が「返済できるのか」と疑問視。原電は「再稼働するとすれば、売電で回収する枠組みになる」と回答した。
 原電がこの千八百億円を金融機関から借りるため、福島第一原発事故を起こした東京電力に債務保証を依頼している道義的責任を問われると、原電側は「東電は筆頭株主なので、まずもっての相談先ということになる。実際にそういう立場になってもらうかは定まっていない」とした。
 事故による巨額賠償のケースについて、原電側は「最後は福島の事故の時のように、国が制度をつくり補償することになる」と説明。福島事故で、国も東電も十分な補償ができていない現状で、事業者として責任を負わないかのような発言に、参加者からは「えーっ」という声が漏れた。
 約九十六万人が生活する三十キロ圏の十四市町村がつくる避難計画に、参加者から「逃げるのは不可能」との意見が出た。原電側は、事業者が避難計画の策定義務を負っていないとした上で「まず自治体に計画を作ってもらい、事業者としてできることをやっていく」と述べた。
 このほか原電側は、想定を上回る津波や地震が起きた際には「そもそも東海村が水浸しになる」「日本全体が厳しいことになる」などと語り、災害への備えには限界があるとの見解を示した。

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