【記事84749】東海第二 日立市住民アンケ 要支援者28%「避難困難」(東京新聞2019年6月21日)
 
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東海第二 日立市住民アンケ 要支援者28%「避難困難」

 日本原子力発電東海第二原発(東海村)の三十キロ圏内の日立市は二十日、事故時の避難に関する住民アンケートの最終報告を公表した。原発五キロ圏内に住み、避難に手助けが必要な高齢者や障害者ら「要支援者」を対象とした調査では、28%が移動の負担などを理由に「避難困難」と回答。実効性ある避難計画作りの難しさが、あらためて浮き彫りとなった。 (越田普之)
 市では今年一月から四月にかけ、無作為抽出した十八歳以上の世帯主三千人のほか、原発五キロ圏で暮らす要支援者約千人にアンケート。一月中の返送分を三月に中間報告として公表、今回はその後に届いた分を合算し、取りまとめた。
 それによると、要支援者向けのアンケートは、回収率が92・45%。八百八人の回答者のうち、二百三十人が、長距離移動による身体的負担や障害、病気などを挙げ「避難困難」とした。
 バスの手配が必要と答えたのは百八十四人で、福祉車両を求めたのが百二十五人に上った。また、市が避難先として指定する福島県内の自治体へ避難すると回答したのは、約半数の四百八人だった。
 市の担当者は「最終的には個別の避難計画を作る必要があるかもしれない。きちんと避難できるよう、丁寧に対応していくということに尽きる」と説明した。
 一方、世帯主三千人を対象としたアンケートの回収率は45・16%。中間報告の42・55%よりやや増えた。指定避難先の福島県内へ向かうと回答したのは四百八十六人で、三人に一人程度だった。
 六割以上が、指定の避難先に行かないという結果に、市は「避難先での生活が想像できないのかもしれない。福島へ行ってもらえるよう周知を進める」と話した。

◆安全対策懇の議事録を公表 市HPに掲載

 日立市が、東海第二の再稼働の是非を判断する際の参考にしようと設置し、四日に初会合を開いた「原子力安全対策懇談会」について、市は二十日、議事録を公表した。会合は非公開で、議事録の発言者名は伏せられている。第二回会合以降も公開の予定はないという。
 議事録によると、この日は市の広域避難計画作りの状況や、事故発生時の連絡通報体制などが主なテーマだった。
 避難を巡っては、「津波との複合災害になれば逃げられない」との声のほか、学校にいる子どもの確実な引き渡しを求める意見などが出た。また、渋滞が多発する市内の道路事情を心配する委員もいた。
 懇談会は市民や学識経験者ら二十二人で構成。名簿は公開されていないが、市は原発メーカーの日立製作所関係者が入っていると認めている。議事録は市のホームページで見られる。 (越田普之)

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