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原子力規制委員長:「御嶽山と一緒に議論は非科学的」


 御嶽山が大きな予兆なく水蒸気噴火し、原発の噴火リスクが改めて注目されている。再稼働に向けた手続きが進む九州電力川内せんだい原発1、2号機鹿児島県の噴火対策について、原子力規制委員会の田中俊一委員長は1日の記者会見で「御嶽山の水蒸気噴火と、川内原発で想定される巨大噴火では起こる現象が違う。一緒に議論するのは非科学的だ」と述べ、審査の妥当性を強調した。
 火山噴火予知連絡会によると、御嶽山の総噴出物は100万トン程度で、小規模噴火と分類した。一方、規制委が考慮する巨大噴火の規模はケタ違いで、噴出物は今回の100万倍に相当し、火砕流は100キロを超える地点まで到達する。もし、運転中の原発を襲えば、対処不能に陥る。
 このため、規制委は、火山の監視を強化し、巨大噴火の兆候が観測されれば原子炉を停止したり、核燃料を搬出したりするなどの対策を取ることにしている。
 九電は、川内原発から半径160キロ以内の14火山を「将来活動性がある」「活動性を否定できない」と評価。たとえ噴火しても「敷地への影響はない」とし、火山灰の影響は、桜島の噴火で敷地内に15センチ積もる場合を想定して対策を講じた。規制委はこれらの結果を妥当と結論づけた。田中委員長は「御嶽山より大きい噴火が起きても影響はないと評価した」と話した。
 しかし、巨大噴火は1万年に1回程度しか起こらず、研究は進んでいない。規制委は火山学者を集めた検討会を作り、観測態勢やどのような現象を噴火の兆候と考えるかの指針作りに着手。検討会で火山学者から「現在の火山学では巨大噴火の予測は困難」「巨大噴火の兆候とする判断基準がない」など疑問の声が相次ぎ、判断基準は今後の検討課題となっている。
 田中委員長は「巨大噴火はここ30年、40年の間に起こるものではない。天災がいつ起きるか分からないので社会的活動をやめてください、という考え方では仕事はできない」と述べた。

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