【記事53000】高浜原発再稼働へ 大阪高裁、運転差し止め覆す(京都新聞2017年3月28日)
 
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高浜原発再稼働へ 大阪高裁、運転差し止め覆す

 滋賀県の住民29人の申し立てにより関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止めた大津地裁の仮処分決定について、関電の抗告を審理してきた大阪高裁(山下郁夫裁判長)は28日、地裁決定を取り消し、関電が求める2基の再稼働を認める決定を出した。稼働中の原発を止めた初の司法判断を上級審が覆した。

■新規制基準に合理性認める

 決定はただちに効力が生じるが、関電の岩根茂樹社長は同日の記者会見で2基の再稼働時期について「スケジュールは決まっていない」と明言を避けた。住民側は最高裁への不服申し立ては行わない見込み。
 山下裁判長は原子力規制委員会の新規制基準について「福島第1原発事故の教訓を踏まえ、最新の科学的・技術的知見に基づき策定されている」として合理性を認めた。争点となっていた、想定すべき地震や津波の規模や安全対策は、関電側が新規制基準に適合していることを説明したとして、2基の安全性に問題はないと判断した。
 大津地裁の決定が、国に避難計画を含めた規制基準を策定する義務があると言及したのに対し、山下裁判長は、避難計画は事業者と国や自治体が連携して責務を果たすべきで、規制基準の対象でなくとも不合理ではないとした。
 危険性の判断については、電力会社側が規制委基準への適合を立証したと認められれば、住民側にその問題点を立証する必要があるとした。
 大津地裁は昨年3月の決定で「地震や津波対策、避難計画に疑問が残る」として運転を差し止め、関電の異議申し立ても退けた。関電は「主観的な判断だ」として、7月に決定取り消しを求めて大阪高裁に抗告していた。
 抗告審で関電は、新規制基準は最新の知見に照らし遜色がなく、十分な安全対策を講じていると主張した。住民側は耐震設計の根拠となる地震の揺れの設定が過小で安全性を欠くなどと訴え、12月末までに審理を終えた。
 高浜原発3、4号機はそれぞれ昨年1月29日と2月26日に再稼働した。3号機は同年3月の仮処分決定で運転を停止。4号機はトラブルにより再稼働直後の同年2月29日に緊急停止していた。
 同原発では現在、3号機が4月中旬まで定期検査中。1月には構内でクレーン転倒事故があり、関電は3、4号機を含めた安全管理の総点検を行っており、再稼働の手続きに入るのは点検終了後になる。

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