【記事89910】◆一強の腐敗 鎌田 慧(ルポライター)「本音のコラム」(東京新聞2019年10月8日)
 
参照元
◆一強の腐敗 鎌田 慧(ルポライター)「本音のコラム」

 それでも辞めない関西電力幹部の腐敗、で知らされたのは、八木誠会長が読売テレビ放送の社外監査役、岩根茂樹社長がテレビ大阪の社外取締役を兼任していた事実だ。
 かつて商社マンからNHK会長に就任した籾井勝人氏が「政府が右というのにわれわれは左というわけにいかない」と彼の放送事業の哲学を一言で言いのけて驚嘆させたが、もっとも危険な原発を抱える電力会社の会長・社長らがテレビ局で睨みを利かせていたのだ。
 さらに彼らは仕事を与えて還流してきた仕立券で、50万円のスーツを着て歩いているようなのだ。それらの悪弊は、いまさらはじまったのではない。
 高浜町の森山栄治元助役は、関電役員ばかりか、子会社役員にも商品券を配って顧問会社の発注を増大させていた。
 先週は、高浜町長が関電から9億円の「協力金」を受領していた(拙著『日本の原発地帯』1982年刊)と書いたが、町長は退任後、関電子会社の役員を長く務めた。自治体を汚染した原発の魔力は果てしない。
 「金品」は関電の原子力事業本部ばかりか、送配電部門、京都支社にまでおよぶ。
 九電力体制とは(沖縄を除く)、完全地域独占体制である。
 政府の方針で使った経費は(学者文化人への高額な謝礼まで)すべて電力料金に上乗せされてきた。
 この暴政は改憲に特化している、一強政治を思わせる。
  (10月8日東京新聞朝刊23面「本音のコラム」より)
KEY_WORD:TAKAHAMA_: