[2021_12_03_05]山梨、和歌山で相次ぎ震度5弱 関連ある? 専門家の見解は(毎日新聞2021年12月3日)
 
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山梨、和歌山で相次ぎ震度5弱 関連ある? 専門家の見解は

 3日午前、山梨県と和歌山県で最大震度5弱を観測する地震が相次いで発生した。地震の規模を示すマグニチュード(M)は、山梨の地震が4・8。和歌山の地震が5・4だった。山梨県は活火山でもある富士山に近い。一方、和歌山県は、近い将来に起きる可能性が高いといわれる南海トラフ地震の想定震源域にあたる。関連性はどうなのだろうか。
 山梨の地震は、富士五湖の地下19キロで発生した。3日は午前8時までに、周辺でこの地震を含め有感地震が震度5弱、震度4、震度3の計3回、その他に体に感じない程度の地震が複数回起きていた。
 この地震による富士山の火山活動への影響について、3日朝に記者会見した気象庁の束田(つかだ)進也・地震津波監視課長は「火山活動と直接の関係はない」と話した。震源が富士山から北東方向へ30〜40キロ離れており、富士山の観測データに特段の変化が見られないことなどが理由という。
 山梨の震源の地下では、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでいる。束田さんによると、今回の地震は、それらのプレートの境界付近で発生した可能性があるという。今回と同じ深さ20キロ前後の範囲は、過去にも地震が起こっている場所だという。
 政府の地震調査委員会委員長の平田直(なおし)・東京大名誉教授は「浅い場所の活断層や火山で起きた地震ではなく、フィリピン海プレートが沈み込むことによって起きた地震と考えられる。同じ震源地で2012年と1983年の地震が起きている」との見方を示した。
 地震は一般的に、一度起きると、引き続き発生する性質がある。平田さんは「2012年の地震でも、その後1週間ぐらい有感地震が時々起きている。2、3日は震度5弱ぐらいの揺れが起きることがあるので、数日前に大雨が降った場所は土砂災害が起きる危険があり、1週間ぐらいは注意が必要」と話した。
 一方、和歌山の地震は、沿岸付近の紀伊水道の深さ18キロの場所で発生した。山梨と和歌山の地震の関連については「距離が離れているので、関係はない」という。南海トラフ地震に与える影響に対しては「誘発するということは今の地震学では言えないが、南海トラフ地震は(近い将来)起きるので、防災上備えることが重要」と話した。【垂水友里香】
KEY_WORD:和歌山県_震度5弱_M5.4_:山梨県東部_震度5弱_M4.8_: