【記事54800】東電株主代表訴訟第33回口頭弁論を傍聴しました(6/1) 被告ら(東電元幹部)は津波の可能性を予見しており、対策を講じていれば、事故を防ぐことができた民事裁判 冨塚元夫(たんぽぽ舎ボランティア(たんぽぽ舎メルマガ2017年6月2日)
 
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東電株主代表訴訟第33回口頭弁論を傍聴しました(6/1) 被告ら(東電元幹部)は津波の可能性を予見しており、対策を講じていれば、事故を防ぐことができた民事裁判 冨塚元夫(たんぽぽ舎ボランティア

◎ 福島第一原発事故を巡る東京電力の株主代表訴訟の第33回口頭弁論が6月1日、東京地方裁判所で行われました。第1回公判からすでに5年が経過しました。
 原告側弁護士が準備書面22、準備書面24、そして「訴えの取り下げ書」の説明をしました。
 被告ら(東電元幹部)は津波の可能性を予見しており、対策を講じていれば、事故を防ぐことができたわけですが、被告側から「いかなる規模の津波を予見することができたと言っているのか」という質問があり、それに答えたのが準備書面22です。
 「予見の対象となる津波は、原発の敷地を超えて非常用電源設備等の安全設備を浸水させる規模の津波」というのが返答でした。
 被告はO.P.(注)15メートルのような巨大な津波は予見不可能だったということを相変わらず主張したいようです。

◎ 準備書面24では、2005年ころ原子力安全委員会が電事連に3年以内に耐震バックチェックを完了するように指示した件の経緯を確認しました。3年が経過した場合には、原子炉の稼働を停止するという前提条件だったことも明確にしました。
 原告側は歴代経営陣27人を訴えていましたが、22人に対する訴えを取り下げ、責任追及の対象は、勝俣恒久元会長ら5人に絞りました。
 勝俣のほかは、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長、清水正孝元社長、小森明生元常務です。5人に絞った理由は、「予見の可能性」を1人、1人について具体的に述べるように、裁判所から指示されたからだと思います。

◎ これまでは、総額約9兆円を賠償するよう請求してきましたが、ここにきて22兆円に増額しました。昨年12月に経産省の東京電力改革1F問題委員会が事故の損害金額見積もりを22兆円に増額したからです。この委員会は22兆円のうち、2兆円は国が、4兆円は新電力ふくめ他電力会社が負担するように言っていますが、全額東電が負担すべきものだからです。

◎ この民事裁判と並行して進めて来た刑事裁判(東電元幹部に対する告訴により、検察審査会が決定した元幹部3人の強制起訴)は第1回口頭弁論期日がやっと6月30日と決まりました。
 これまで入手できなかった政府事故調での勝俣被告らの調書などが刑事裁判の証拠として、提出されることが期待されています。
 多くの新証拠によって、この民事裁判が飛躍的に進行すると期待されます。

※(注)「O.P.」:小名浜港(福島県南東部のいわき市)工事基準面
   「東京湾平均海面」の下方0.727mにある基準面

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