【記事73750】北海道震度7 主要活断層帯を刺激する恐れも(毎日新聞2018年9月7日)
 
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北海道震度7 主要活断層帯を刺激する恐れも

2018年9月7日 08時00分(最終更新 9月7日 08時00分)
 政府の地震調査委員会は6日、臨時会合を開き、北海道厚真町で震度7を観測した地震は、震源の西約10キロにある主要活断層帯「石狩低地東縁断層帯」で発生したものではないとの見解をまとめた。別の断層が最長で南北約30キロにわたってずれ動いたとみられるという。今回の地震が同断層帯の地震を引き起こす可能性も否定できないとして、警戒を呼びかけている。
 調査委によると、同断層帯は深くても地下20キロ程度までしか延びていない。今回の震源は深さ約37キロとそれよりかなり深く、調査委は今回の地震が同断層帯と離れていると判断した。ただ、周辺では今回の影響で地震が起きやすくなったとみられる場所もあるという。
 今回の地震は、片方の岩盤がもう片方に乗り上げる「逆断層型」。震源付近の北海道の中央南部では、東西から押し合う力がかかっていて、逆断層型の断層が生まれやすくなっている。
 委員長の平田直(なおし)・東京大教授は会合後の記者会見で「(知られている)活断層だけに注意するのではなく、どこで地震が起きてもおかしくないと考えてほしい」と話した。
 同断層帯は「主部」と「南部」に分けられる。主部の長さは約66キロで、想定される最大マグニチュード(M)は7.9。南部は長さ54キロ以上あり、最大Mは7.7以上。政府の地震調査研究推進本部は、今後30年の発生確率を主部で「ほぼ0%」、南部で「0.2%以下」と想定している。
 名古屋大の鈴木康弘教授(変動地形学)は「今回動いた所は石狩低地東縁断層帯に付随してできた別の断層ではないか。地下では想定以上に複雑なことが起こっていると考えられ、断層帯と『関係がない』とまでは言えない」と話した。
 地震波形を分析した東京大の古村(ふるむら)孝志教授(地震学)によると、大きな揺れが3〜4秒間隔で約3回、記録されていた。大きな断層のずれが複数回起こることで、比較的長く、強い揺れが続いたとみられるという。
 一方、北海道では千島海溝のプレート境界で発生するM9級の巨大地震も懸念されているが、今回は内陸の地殻内で起きたため、気象庁は「直接の関係はない」とみている。
 また、防災科学技術研究所は厚真町の西隣にある安平(あびら)町の観測点で、1505ガルの加速度を記録。2016年の熊本地震で益城町で記録した1362ガルを上回った。【池田知広】

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