【記事73680】北海道で震度7 軽石の地層滑り、土砂崩れ(東京新聞2018年9月7日)
 
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北海道で震度7 軽石の地層滑り、土砂崩れ

9月7日朝刊
 今回の地震では、震源に近い厚真町の山間部で広範囲に土砂崩れが起こり、多くの住宅が埋まった。あちこちで斜面が崩れた理由は、過去の火山活動で降り積もった軽石や火山灰にあると専門家は指摘する。
 火山の地質に詳しい産業技術総合研究所の石塚吉浩・火山活動研究グループ長は「厚真町の周辺には、およそ四万年前に支笏(しこつ)湖(支笏カルデラ)の火山活動で噴き出した軽石が多くたまった地層がある。今回の地震で、その地層が滑って土砂崩れが起きた」と分析する。崩壊した斜面上で白っぽく見えるのが軽石の多い地層だという。
 地震前に雨が降り軽石が水を含んだことで激しい滑りを起こしたとみられる。
 一方、地震の揺れ方にも土砂崩れを起こしやすい要因があったようだ。加藤愛太郎・東京大地震研究所准教授は「今回の地震では短い周期の揺れが大きく強かった。短周期の揺れは地盤に影響しやすいため、地層がもろいこともあって土砂崩れや液状化が起きたのだろう」とみる。
 京都大防災研究所の釜井俊孝・斜面災害研究センター教授は「一九六八年の十勝沖地震では、十和田湖の噴火による軽石が積もっている青森県八戸市周辺で同じような崩壊が起きた。熊本地震でも阿蘇山の周辺で発生した。軽石はスカスカで弱い。地層に軽石があれば揺れがそれほど強くなくても滑る」と指摘する。 (増井のぞみ、三輪喜人)

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