[2021_10_08_23]帰宅困難者続々、思い出す大震災 真っ暗な改札前に数百人(毎日新聞2021年10月8日)
 
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帰宅困難者続々、思い出す大震災 真っ暗な改札前に数百人

 2021/10/8 11:34
 7日深夜に発生した地震は首都圏の交通網に大きなダメージを与え、電車の運転見合わせにより帰宅できなくなる人を生じさせた。8日も運休や駅への入場制限による混乱が続き、10年前の東日本大震災を思い返して不安を募らせる人もいた。
 JR品川駅では地震の影響で停電が発生した。7日午後11時半過ぎ、真っ暗になった改札前にはスマートフォンを片手に情報を集める人たちが数百人ほどあふれ、床に座り込む人も。8日午前0時半ごろ電気が復旧すると「おー」という歓声が響いた。
 東京都は7日夜、ターミナル駅がある千代田や新宿など7区に帰宅困難者の発生状況などを確認するよう依頼した。JR北千住駅や品川駅で多数の帰宅困難者が発生したことから、足立区と港区に一時滞在施設の開設を要請したという。
 都によると、足立区は区立千寿本町小学校体育館を開放し、47人が利用。港区が開放した「港南いきいきプラザゆとりーむ」では7人が一夜を明かした。内閣府によると、帰宅困難者に対応するため行政が設置した東京、神奈川、千葉の計6施設を約120人が利用したという。
 大学2年生の女性(20)はさいたま市の自宅に帰れず、銀座のビジネスホテルに泊まった。アルバイトを終えて東京駅近くにいた時に地震が発生。電車の運行状況を調べたが全て止まっていた。心配して電話をかけてきた母親から「できれば帰ってきてほしいけど、泊まるなら早く場所を探して」と助言を受け、ホテルを探したという。前日と同じ服で大学に行くといい、「授業が終わって帰る頃には電車が動いているといいけど」と心配していた。
 混乱は8日午前も続いた。JR東日本によると、武蔵野線の北朝霞駅、京浜東北線の川口駅や蒲田駅などで構内の混雑を避けるため入場規制を実施した。電車を待つ通勤客らが駅の外まで長い列を作った。
 さいたま市の会社員、伊藤史宣さん(48)は普段利用している在来線が大幅に遅れたため、新幹線を使って大宮駅から東京駅まで出た。「(地震は)東日本大震災の時と同じくらいの規模に感じた。交通費は自腹で、また同じくらいの地震が来たら今度は家に帰れなくなる。とても不安だ」と話していた。【斎川瞳、加藤昌平、田中理知、宮武祐希】
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