[2017_11_07_04]<福島廃炉への道>台風降雨で水位監視できず 井戸からのくみ上げを一時停止(河北新報2017年11月7日)
 
参照元
<福島廃炉への道>台風降雨で水位監視できず 井戸からのくみ上げを一時停止

10月1日〜31日
【10月】
 5日 東京電力福島第1原発1〜4号機建屋の周囲にある井戸「サブドレン」の水位計の基準値を誤って設定していた問題で、東電は、建屋からの汚染水漏れはなかったと発表した。漏えいの恐れがあった井戸より建屋に近い井戸や、周囲の井戸は建屋滞留水より水位が高く保たれていたことが分かったという。
20日 多核種除去設備「ALPS」で吸着したセシウムを含む液体を入れた容器「HIC」の保管設備で漏えい検知器が作動。コンクリート製の保管設備に水たまりが見つかった。水たまりの表面線量は毎時2マイクロシーベルトで廃液の漏えいはなく、東電は雨水などが染み込んだと判断した。
23日 台風21号による降雨の影響で、サブドレン1基の水位が水位計の上限を超えた。水位監視ができなくなり、運転上の制限を逸脱した可能性があるとして、東電は井戸からのくみ上げを一時的に停止した。
26日 構内の車両整備工場で、50代の男性作業員が体調不良を訴え、救急搬送後に亡くなった。病死とみられ、作業と因果関係はないと判断された。
31日 1号機建屋上部に防風フェンス(高さ4メートル)を設置する作業が始まった。建屋に残るがれきを撤去する際、放射性物質の飛散を防ぐのが目的。

◎搬出開始 見通しに甘さ

Q 東京電力福島第1原発1号機の原子炉建屋で防風フェンスの設置工事が始まった。
A 水素爆発した1号機は2011年10月に建屋を覆うカバーが取り付けられた。使用済み燃料の取り出しに向けて進められてきたカバーの撤去工事が今年10月に完了。鋼板製の防風フェンスを新たに設置し、がれき撤去に入る予定だ。
Q 1号機の使用済み燃料の搬出開始時期は、9月に改定された中長期ロードマップ(工程表)で再び先送りされた。前回改定で「20年度中」だった目標が、2号機と同様「23年度をめど」にずれ込んでいる。
A 原子炉格納容器の真上にあるコンクリート製の3重のふた「ウェルプラグ」が爆発の影響でずれていることなどが新たに判明したためだ。放射線の遮蔽(しゃへい)機能が損なわれており、作業員の被ばくを防ぐための新たな対策を取る必要がある。
Q 総重量が500トンもあるウェルプラグを遠隔操作でどうやって補修するか、具体的な工法は決まっていない。「23年度」の開始目標がさらに遅れる可能性はないか。
A 専門家の間に東電の見通しの甘さを指摘する声がある。水素爆発を免れた2号機も建屋内の線量が極めて高く、取り出しに必要な建屋上部の解体工事は難航が予想される。工程通りに搬出が進むかは不透明だ。

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