[2020_02_27_03]IAEA事務局長 第一原発を視察(福島民友2020年2月27日)
 
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IAEA事務局長 第一原発を視察

 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は二十六日、就任後初めて東京電力福島第一原発を視察し、同原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ水の処分方法について「決めるのは日本政府」とした上で「どのような決定でも科学的に実証された手法であるべき」と指摘した。視察後に報道陣の取材に答えた。
 グロッシ氏は福島第一原発で発生する汚染水の浄化処理の状況を確認し、「システムは技術的にも健全で国際的な基準も満たし、IAEAとして満足している」と評価。処理水を実際に環境中に放出する際には、日本政府の求めに応じて助言したり、放射性物質のモニタリングなどで支援したりできるとの考えを示した。
 IAEAの関与により、国際的な基準に沿って管理した上での放出を担保し、放出に関する正確な情報を世界に発信できるとした。
 グロッシ氏は今回の視察で、汚染水からトリチウム以外の放射性物質を取り除く浄化システムなどの説明を受けた。多核種除去設備(ALPS)で処理した水に放射線測定器を近づけても周辺の空間線量と変わらないことも確認した。
 グロッシ氏は昨年、任期中に死去した天野之弥前事務局長の後任で、事務局長としての来日は初めて。
 処理水を巡っては政府の小委員会が「海洋や大気への放出が現実的な選択肢」とする報告書をまとめた。県内では処分が福島県のみで行われたり、福島県から始まったりすれば風評が一層、強まりかねないとの懸念が根強い。
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