【記事50590】第二原発廃炉「決着つけなければ」 高木経産副大臣に聞く(福島民報2017年1月12日)
 
参照元
第二原発廃炉「決着つけなければ」 高木経産副大臣に聞く

 11日、福島民報社のインタビューに応じた高木陽介経済産業副大臣は、東京電力福島第二原発の廃炉について、「何らかの決着をつけなければならない」との認識を示した。
 −昨年、原子力損害賠償・廃炉等支援機構は福島第一原発の廃炉作業に関する戦略プランの中に、溶融燃料(燃料デブリ)を取り出さず建屋を覆う「石棺」の文言を記した。後に削除したが、国の本音を見た印象だ。
 「私も機構の山名元(はじむ)理事長も(石棺は)全く考えていない。原子力規制委員会で『もう石棺にしていいのではないか』という無責任な、現場を見ていない人たちがいる。そういう話を否定するために使った言葉だが、現場の人たちがどう受け止めるかという点に思いが至らなかった。叱責(しっせき)されて当然だ。政治家として責任を持って必ず廃炉にする」
 −福島第二原発の全基廃炉について、東電は何ら手順を進めていないのが現実だ。先日、インタビューした東電の広瀬直己社長も昨年同様の回答で態度を明確にしなかった。
 「他の原発とは(状況が)全く違うし、昨年末に県議会で廃炉を求める意見書が採択されたこともしっかり受け止める必要があるが、東電の財務状況が問題となっている時に、(詳しく言及するのは)微妙なところだと感じる。ただ、県民の思いを明確にし、何らかの決着をつけなければならない」
 −東電の事故対応費用が22兆円になると試算されている。国は東電を資金支援する方針で、国民負担が増える可能性があるとの批判的な見方が出ている。福島の復興支援に対する国の財政投入についても、世論が変化しかねない。
 「帰還困難区域の特定復興拠点の整備費は国が負担する方針だが、『なぜ東電に求償しないのか』という国会議員もいる。国も責任の一端を担っているのだから前面に立ってやるのは当然だ。福島の皆さんや被災者の一人一人がそうしたことで負担になったり、負い目を感じたりすることのないよう責任を持って取り組む」
   ◇    ◇ 
 高木副大臣は11日、福島民報社を訪れ、高橋雅行社長と懇談した。
 高木氏は「避難指示の解除は福島県の川俣町と飯舘村の3月末に続いて富岡町に4月1日を示した。今月下旬には浪江町に提示する。住民の理解を得て丁寧に進める」と述べた。福島特措法を改正し、帰還困難区域の復興に踏み出すとともに福島相双復興官民合同チームの核である福島相双復興推進機構を法定化するとした上で、「風評対策はこの1年が勝負と考えて流通上の問題を体系的に分析する」と語った。
 政府原子力災害現地対策本部の後藤収副本部長、経済産業省大臣官房福島復興推進グループの山村直弘福島広報戦略室長、福島相双復興官民合同チームの角野然生事務局長らが一緒に訪れた。

KEY_WORD:_