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川内原発:耐震工事なし 新基準想定引き上げ後


 九州電力が年明けの再稼働が見込まれる川内せんだい原発1、2号機鹿児島県薩摩川内市について、想定する最大の地震の揺れ「基準地震動」を620ガルガルは加速度の単位に引き上げて以降、新たに実施を決めた耐震工事はないことが、同社などへの取材で分かった。九電は「約半年かけて主要施設がどの程度揺れるかを評価したが、工事が足りないところはなかった」とし、これを踏まえた「工事計画」を月内にも原子力規制委員会に提出する。九電は3月、算定根拠を明確に示さないまま地震動を引き上げた経緯があり、九電や、審査する国は、詳しい説明が求められそうだ。
 原子力規制委の審査会合では、規制委が東日本大震災前には想定外としていた地震も考慮するよう電力各社に求めた。具体的には、原発周辺の断層による地震動に加え、2004年の北海道留萌るもい支庁の地震など、震源が特定されていない地震への対応で、最大の論点となった。 新たな耐震補強工事などの負担を懸念した関西電力など各社が従来の想定を変えず、審査が長引く中、九電が3月の審査会合で川内原発の基準地震動を540ガルから620ガルへと引き上げ、新規制基準の適合第1号になった。会合で九電の担当者は「乱暴な言い方をすれば、エイヤッと引き上げた」と説明していた。
 川内原発の耐震策について九電は毎日新聞の取材に対し、昨年7月の審査開始後、耐震強度に余裕を持たせるため、400カ所の配管補強工事に着手し、地震で崩れる恐れのある設備周辺ののり面の一部をはぎ取る工事をしたと説明した。
 一方、620ガルの地震動が確定した今年3月以降については、原子炉格納容器など個別設備に働く地震波の強さを評価したと説明。九電は「耐震強度に余裕がなくなる可能性もあったが、問題ないと確認した」とし、耐震工事の追加予定がないことを明らかにした。
 規制委に提出する工事計画認可の補正書に、この評価結果を記し、認可を待つことになる。鹿児島県などが主催した9日の住民説明会では「地震動の引き上げに伴う安全強化策が分からない」薩摩川内市の男性と疑問の声も出ている。

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